例えば、俺みたいな小学生がいるとして。２ (ページ27)

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｢おやすみなさい｣

透くんは俺をお布団に寝かせて背を向けた。少しの間、その背中を見ていたのだが、手を伸ばして、透くんの服を掴んだ

｢Aくん？｣
｢･･･透くんも一緒に寝よ｣

ぼんやりする頭で透くんを見上げながら言った

｢･･･そうですね。隣、良いですか？｣
｢うん･･･｣

少し考えた透くんは訊いて来る。それに頷くと透くんは俺の隣で向き合う形で横になった

｢･･･おやすみ、透くん｣
｢はい。おやすみなさい｣

目を閉じて、眠りについた

眠りについた俺が目を覚ましたのは、何だか体が重たくて息苦しかったから。目を開けた先にいたのは白いモフモフのハロだった

｢そっか･･･ここ、｣

今は自分のいる場所が自分の家ではない事を思い出した

｢起きましたか？｣
｢透くん。おはよ｣
｢おはようございます｣

隣の部屋から顔を出した透くんと挨拶を交わす。ちょっと不思議な気分だ

｢朝御飯、出来てますよ。顔を洗って、口をゆすいでから、朝食は食べてくださいね｣
｢はぁい。ハロー、ちょっとごめんね｣

自分の上に乗っているハロに横に退いてもらった

｢寝起きは良い方なんですね｣

顔を洗って、口をゆすいでいると後ろから声を掛けられた

｢まぁね。眠たいとダメだけど｣
｢昨日の夜は酷かったですからね｣
｢ごめんごめん。迷惑掛けちゃって｣
｢いいえ、あれぐらい可愛いものですよ｣

そう言って笑った透くんは戻って行った

｢おおー、美味しそうな朝御飯｣
｢Aくんのお母さんも凄いのでは？｣
｢うん。だから、母さんに料理、習ってる｣
｢なるほど。今度、何か作ってもらっても？｣

透くんに言われたが、少し悩んでしまう。透くんは料理が凄く上手くて、俺がやってもあまり意味がないような気がする

｢味気ない料理でも良いなら、良いよ｣
｢味気ない料理なんて無いですよ。楽しみにしてます｣
｢分かった。任せて!!｣

でも、と透くんに、買い物は一人で行くなと母さんに言われている事を話しておいた

透くんは、俺の左手が度々動かなくなる事は知っていたらしくて、買い物は一緒に行ってくれるみたいだ

｢透くんは俺の事、どれだけ知ってる？｣
｢僕は探偵です。気になる事は調べてますから、色々知ってますよ｣
｢じゃあ、この間の事件の事も？｣

俺はただの好奇心で訊いてみたけど、透くんは凄く険しい顔をして頷いた

｢Aくんが犯人に酷い事をされたのも、その時の怪我が後遺症が残るほどのものだという事も知ってますよ｣

そう言った透くんは自分の事でも無いのに、どこか表情が暗かった