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「座ってて良いですよ?」
「ううん、見てる」
そう言って、透くんの隣でオーブンに入れられた鯖缶を眺めていた
「出来ましたよ」
「良い匂い」
「さ、座ってください」
「うん」
椅子に座って、透くんが持って来てくれた鯖缶を見下ろした
「美味しそう・・・」
「召し上がれ。麦茶も用意しますね」
「ありがと!!」
お箸を受け取り、鯖を少しだけ取り、口の中に入れた
「あふ・・・っ」
思ったよりも熱くて、口の中で冷ましながら、その一口を食べた。それはとても美味しくて、簡単なものでも、こんなに美味しいものが出来るのだと知った
「味はいかがですか?」
「美味しい。透くんって凄い。こんなに美味しいのをすぐ作れちゃうんだね!!」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
モグモグと鯖缶を食べて、食べ終わる頃にはお腹が満たされていた。お腹がいっぱいになった事で、眠気が出て来始める
「ふぅー・・・」
「寝ますか?」
「・・・うん」
「なら、歯みがきをしてからですよ」
頷いたけれど、立ち上がろうとすれば、眠気からふらついてしまう
「大丈夫ですか?」
「大丈夫、凄く眠くてふらついただけ・・・」
支えてくれた透くんから離れて、少し笑って答えた
「ゆっくり行きましょう。こっちです」
「うん・・・」
返事をすると透くんに手を引かれて、引かれていない方の手で目を擦りながら歩いた
「どうぞ。新しいものなので、安心してくださいね」
頷いて返し、渡された歯ブラシを受け取り、歯みがき粉をつけてもらった。口の中に突っ込み、シャコシャコと適当に洗っていく
「ちゃんと磨いてください」
「面倒なんだもん・・・」
「虫歯になりますよ。貸してください」
歯ブラシを渡す前に透くんに取られてしまう
「はい。こちらを向いて」
言われた通りに透くんの方を向いた
「口、開けて」
「あー・・・」
口を開けると歯ブラシを持った透くんが頬に触れて、歯を磨いてくれた。しかし、自分でやるほどの思考も無ければ、恥ずかしがるような思いも湧いて来ない
それほどまでに思考が眠たい以外に無かった
「いー、ってして」
「いー・・・」
「全く。・・・本当に君は子供なんだな」
そんな透くんの声が聞こえたが、ほとんどに気にならない
「うがいは自分で」
「・・・うん」
水を入れてもらったコップを貰い、口の中をゆすいだ。ペッと水を吐く。それを数回、繰り返し、歯みがきを終えた
「じゃあ、寝ましょうか」
そう言った透くんは軽々と俺の事を抱き上げた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年10月14日 20時