検索窓
今日:27 hit、昨日:27 hit、合計:172,074 hit

70 ページ26

「座ってて良いですよ?」
「ううん、見てる」


そう言って、透くんの隣でオーブンに入れられた鯖缶を眺めていた


「出来ましたよ」
「良い匂い」
「さ、座ってください」
「うん」


椅子に座って、透くんが持って来てくれた鯖缶を見下ろした


「美味しそう・・・」
「召し上がれ。麦茶も用意しますね」
「ありがと!!」


お箸を受け取り、鯖を少しだけ取り、口の中に入れた


「あふ・・・っ」


思ったよりも熱くて、口の中で冷ましながら、その一口を食べた。それはとても美味しくて、簡単なものでも、こんなに美味しいものが出来るのだと知った


「味はいかがですか?」
「美味しい。透くんって凄い。こんなに美味しいのをすぐ作れちゃうんだね!!」
「そう言ってもらえると嬉しいです」


モグモグと鯖缶を食べて、食べ終わる頃にはお腹が満たされていた。お腹がいっぱいになった事で、眠気が出て来始める


「ふぅー・・・」
「寝ますか?」
「・・・うん」
「なら、歯みがきをしてからですよ」


頷いたけれど、立ち上がろうとすれば、眠気からふらついてしまう


「大丈夫ですか?」
「大丈夫、凄く眠くてふらついただけ・・・」


支えてくれた透くんから離れて、少し笑って答えた


「ゆっくり行きましょう。こっちです」
「うん・・・」


返事をすると透くんに手を引かれて、引かれていない方の手で目を擦りながら歩いた


「どうぞ。新しいものなので、安心してくださいね」


頷いて返し、渡された歯ブラシを受け取り、歯みがき粉をつけてもらった。口の中に突っ込み、シャコシャコと適当に洗っていく


「ちゃんと磨いてください」
「面倒なんだもん・・・」
「虫歯になりますよ。貸してください」


歯ブラシを渡す前に透くんに取られてしまう


「はい。こちらを向いて」


言われた通りに透くんの方を向いた


「口、開けて」
「あー・・・」


口を開けると歯ブラシを持った透くんが頬に触れて、歯を磨いてくれた。しかし、自分でやるほどの思考も無ければ、恥ずかしがるような思いも湧いて来ない

それほどまでに思考が眠たい以外に無かった


「いー、ってして」
「いー・・・」
「全く。・・・本当に君は子供なんだな」


そんな透くんの声が聞こえたが、ほとんどに気にならない


「うがいは自分で」
「・・・うん」


水を入れてもらったコップを貰い、口の中をゆすいだ。ペッと水を吐く。それを数回、繰り返し、歯みがきを終えた


「じゃあ、寝ましょうか」


そう言った透くんは軽々と俺の事を抱き上げた

71→←69



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (128 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
306人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空白可能 | 作成日時:2019年10月14日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。