例えば、俺みたいな小学生がいるとして。２ (ページ25)

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｢寝てても大丈夫ですよ。明日、ちゃんと学校まで送りますので｣

振り返ったのはやっぱり透くんで、透くんは俺の頭を撫でながら言った

｢今何時？｣
｢夜の十時です｣
｢･･･お腹すいた｣

そう言うと、俺のお腹が情けない音を鳴らした

｢晩御飯、食べて無かったですね。軽く何か食べますか？｣
｢食べたい｣
｢分かりました。少し待っていてくださいね｣

透くんは立ち上がり、部屋の電気を点けた。それが眩しくて目を閉じた。目が明るさに慣れた頃に目を開けて、体を起こした

どうやら、お布団の上で寝かせてもらっていたようでフカフカの感触が手に当たる

ふと、テーブルに置かれているものに視線が行った。パソコンというものだろうけど、何かが画面に映し出されている

｢あ、この人･･･｣
｢こーら、勝手に見ないでください｣
｢あっ｣

パソコンに手を伸ばすと戻って来た透くんにパタンと閉じられた

｢さっきの透くんの友達？｣
｢そうですよ｣
｢そうなんだ!!じゃあ、あの頭がふわふわな男の人の名前は知ってる？｣
｢Aくんはその人を知っているんですか？｣

逆に訊かれたけど、頷いて返し、その人との事を話した

｢･･･そうでしたか。アイツがAくんを、｣
｢うん。だから、警察官になって、もう一回会ってお礼を言いたいなって思ってたんだけど、それが無理になっちゃって･･･｣
｢大丈夫です。アイツはそんな事をいちいち覚えてないですから、お礼なんて｣

言わなくても良いですよ、と透くんは笑って言ってくれるが、その笑顔に違和感があった

｢でも、｣
｢なら、僕から言っておきますよ。アイツも忙しいでしょうから｣
｢出来れば自分で言いたいんだけど･･･忙しいなら仕方ないか･･･。じゃあ、お願いしようかな｣

父さんの事もあって、警察官が忙しいのは分かっていたので、透くんにお願いする事にした。またどこかで会えたら、直接お礼を言おうと思った

｢任せてください。伝えておきます｣
｢ありがと｣
｢では、何か軽く食べましょうね｣
｢うん｣

俺と一緒に寝てくれていたハロを起こさないように立ち上がり、透くんの後ろをついて行った

｢なに作るの？｣
｢以前に僕が食べたものでも良いですか？｣
｢俺は食べてないから大丈夫だよ。作ってくれるなら何でも食べる｣

ワガママを言う権利は俺に無い訳で、出してくれるなら何でも食べる。食べれるものに限るけど

｢じゃあ、鯖缶にチーズを乗せてっと･･･オーブンにして･･･｣

透くんはブツブツ言いながら何かをし始めた