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「そうなんだ・・・・。俺には兄弟とかがいないから、よく分からないけど、哀ちゃんが本当にお姉さんの事が好きなのは分かるよ」
お姉さんの事を話す哀ちゃんは優しいものだったり、哀しんだりしていて、普段の表情が少ない哀ちゃんには珍しく、俺でも表情が読み取れた
「・・・そう。貴方は何事も分かりやすいから楽だわ」
「えっ」
「良い性格してるって事」
「それってどうい・・・、ひぃッ!!?」
どういう意味、と訊こうとした瞬間、テントがガサガサッと音をたてたので驚いて、ビックリして哀ちゃんにくっついた
「貴方ねぇ」
「こ、怖いのは無理なんだよぉ・・・」
「全く。大きいクセに頼りないんだから」
「うぅ、申し訳ない・・・」
呆れてしまった哀ちゃんに謝った
「良いわよ、別に。でも、誰かしら。子供達でも無さそうだし・・・」
「俺が見て来るよ」
「怖いのは無理なんじゃなかった?」
「だ、大丈夫だって。ゆ、幽霊とか、い、いないし・・・」
軽く笑って来る哀ちゃんに震える声で返して、テントの中から外に出た。外に出て、辺りを見渡して見たが、誰かしらがいる訳でも無かった
「誰もいなかったよ」
「じゃあ、やっぱり幽霊とか?」
「そ、そんな訳無いって!!」
「冗談よ。多分、何かが当たっただけでしょ。さて、そろそろ子供達を呼びに行きましょ。晩御飯の準備をしないとね」
テントに中にいた哀ちゃんは外に出て来て、一緒に江戸川達を探しに行く事になった。昴くんがいるから、それほど遠くには行っていないとは思うけど、なかなか見付からなかった
「あっちを探しましょ」
「分かった」
林の方に入って探していたのだが、全く見付からない
「誰かいるのかしら」
「行ってみる?」
「ええ」
奥の方でガサガサと音がしているので、そちらの方に行く事にした
「江戸川ぁ?いるー?」
草むらをかき分けて、声を掛けながら歩いて行った。草むらをかき分けた先で目に入った光景に息を呑んだ
突然立ち止まった俺に哀ちゃんがぶつかった
「ちょっと、何を・・・」
「・・・逃げないと、」
「え?」
哀ちゃんは俺が何を言っているのか分かっていないようだけど、この際、どうでも良い。哀ちゃんの手を引いて走って戻り、昴くんを探そうと思った
しかし、一歩下がった時に、パキッと良い音が鳴った。それに驚いて下を見たが、そこには折れた枝があった
そんな事より、と慌てて前を見た
前方にいた人影は、こちらを向いていた
「哀ちゃん、走るよ!!」
「え、ちょ、ちょっと・・・!!?」
人影が近付いて来たので、哀ちゃんの手を引いて走り出した
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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年10月14日 20時