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「A、怪我はないか?」
「アウ。バウ?」
「僕は大丈夫だよ。一応、病院には行くけどね」


銃弾が貫通した怪我を診てもらう為、病院に車を進めた

病院に向かう車内で、Aの様子を見る。助手席の足元に丸まって納まっている。今回の件、Aに話を聞けたら、一番早いのだが、相手は犬だ。犬語を誰か教えてくれないだろうか

実にくだらない事を考えながら、病院に向かっていた


「これで大丈夫でしょう。お大事に」
「ありがとうございました」


病院で適切な治療をしてもらって、車に戻りながら今後の事を考えていた。まさか、こんなにも早い段階で、自分に刃を向けられるとは思わなかった

向けられるとすれば、潜入捜査が終わった後だと勝手に思い込んでいた

これは早々に身の振り方をどうにかしなければ。自分の事だけではない。ハロやAの事。自分がいなくなった後、あの二匹は無事でいてほしい

無事で健やかに、天寿を迎えてほしい


「・・・誰かに、二匹を任せるか」


一番、安全で確実な場所に


「沖矢さん、犬はお好きですか?」


Aの驚異的な強さを知った数日後、ポアロに来ていた沖矢 昴に、お冷やを出す際に問い掛けた


「犬、ですか?」
「ええ。犬です。ポメラニアンと大型犬です」
「なるほど。まぁ犬はそれなりに好きですが・・・」
「それなら良かった。飼いませんか?二匹」


沖矢 昴になら、あの子達を預けられるような気がした。信頼は出来ないが、信用は出来る。あの工藤さんの家にいるのだから


「大型犬の方は気難しい犬ですが、良い友人になれると思いますよ。勿論、ポメラニアンの方も」
「でも、どうして私にその話を?」
「訳あってうちにいるんです。その二匹が。それで、うちでは飼いきれないので、誰かに引き取ってもらおうと思ったんです」


適当な理由を付けて、沖矢 昴にあの子達を任せようと思った。僕の事を知っているコイツなら、深く理由も訊いて来ないだろうと見込んでの事でもあった


「そういう話であれば」
「気にしなくとも、今回は変な勘繰りはしてませんよ。純粋に預けたいだけです。あの子達を安全な場所に」
「・・・分かりました。後日、会わせてもらっても?」


そう言った沖矢 昴に頷いて返し、お互いの予定の空いている日を話し合って、ハロ達と会わせる予定を立てた


「それでは、また」
「はい。ありがとうございました」


約束を取り付けて、沖矢 昴とポアロの会計を終わらせた後に別れた。通常の業務を行い、何事もなかったかのように自宅に戻った

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作者名:空白可能 | 作成日時:2022年10月11日 23時

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