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『――オーナー。こちらガイドの桃花です。今から一名様VIPルームへお通しします』
「えぇ。お待ちしているわ」
インカムを切ったAはそのままイヤフォンを外す。ここから邪魔はされたくないと言う彼女の意思表示であり、お客様に対するケジメだ。勿論、イカサマを疑われない為でもある。
肩から羽織っていただけの黒いコートを椅子に掛けて、グローブの留め具をキツく締めた所で、重厚な扉が鳴る。
どうぞ、と一言放てば失礼しますとフロアガイドの矢田が扉を開けた。そのすぐ後ろに立つ青年。
ごゆっくりお楽しみ下さい。矢田が下がるのを見送り、Aがキュッと口角を上げたのはショーの始まりの合図。
「ようこそビーナスへ。支配人のアーシャ・クィーンよ」
「……胡蝶 楓です」
「えぇ、知ってるわ。手馴れてると思ったらディーラーさんなのね」
藍色の髪を後ろで結わえた彼は、何故、と言いたげに眉を上げた。片目は前髪の所為でよく見えないが、右の青色の瞳が警戒心を顕にする。
一方、動じないAは沢山並んでる内の一つのカードの束を手に取った。
「得意ゲームはポーカーかしら? それだけでここまで来るなんて相当の腕じゃない。それで? 他のカジノのディーラーさんが何の用事?」
「……別に用事って程じゃ……。……ただ、同業者としては急成長したと言われるカジノが気になっただけですよ」
「そう。視察はどうだった? ウチのスタッフ達は素質が良いでしょう?」
にこりと上品に笑うAに対して、楓と名乗った男は薄い笑みを浮かべる。
「えぇ、まぁ。……でも、僕の方が腕は確かだなとは思いましたよ」
トランプを切っていたAの手がピタリと止まった。
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camellia(プロフ) - 葵さん» うぐふっ(謎の声)…………有難いお誘い誠に心苦しいけど今回は見送らせていただきます……バチクソに私事なんだけど50作目にこっち名義で新作出せるように諸々準備中なので、現時点で出来かねるのよ……一連が落ち着いたら参加も考えます(震) (2020年11月12日 22時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - camelliaさん» やった〜〜。頑張った甲斐がある(まだ始まったばかり)。一人完成したら公開って形で順番に書かせて頂く予定なので、遅くなるかもしれませんが……! 何に渋ってるかわかんないけど決心付いたらお気軽にお声がけ下さいね笑 (2020年11月12日 22時) (レス) id: f205b8954e (このIDを非表示/違反報告)
camellia(プロフ) - 好きです(唐突な告白) いや企画の時点でも相当好きでしたけど!!一気読みして心撃ち抜かれました本当に……。募集企画に興味湧いてきたかもしれない。ほんの手伝いの分際でなんですが彼女の子のお話も心待ちにしております(小声) (2020年11月11日 21時) (レス) id: 24ff41186f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葵 | 作者ホームページ:https://twpf.jp/uranai_aoi
作成日時:2020年11月11日 17時