【文スト】肆 全身黒の、美しいひと。【男主】

捌拾玖. 暗号 ページ10

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【太宰 視点】







Qの人形に触れ、倒れている敦くんに近づく。





太「敦くん、よくやった」

敦「…太宰、さん……」






彼を安全なところまで連れていき、様子を見る。


出血はしているが、おそらく大丈夫だろう。







太「上で、Aくんには会えたかい」

敦「はい、何度か話をしました」

太「…それで、彼の待遇は」


敦「かなり良いと言ってました。…ですが食事を拒んでいるらしく、かなり痩せてしまっています」


太「…そうか」






彼が虐げられたりしていないのなら安心だ。




…だが、何故食事を拒むのか。

まさか彼は、





敦「…あ、そういえば、」






彼が服のポケットから、黒い封筒を取り出す。


…それは普段、Aが使うものだ。







敦「…なんて書いてあるんだろう」

太「それ、見せてくれる？」







彼から封筒を受け取り、中を見る。


何枚か白い便箋が入っているようだ。






敦「…それ、暗号ですか、？」

太「これは、Aくんが使う封筒だね。それにこの暗号は……」






すべてが暗号で書かれている。


…だが、この暗号には見覚えがある。






『敦くんは無事に保護できたでしょうか。内容が内容なので暗号を使います。太宰くんなら読めると信じて。』




敦「太宰さん、読めるんですか」

太「これは一時期、ポートマフィアの隠密な通信に利用されていたものでね。彼はその頃に一度ポートマフィアに侵入している」






…彼は、暗号読解にも長けているんだったか。

なかなか複雑なはずなのにな、などと思いながら文を確認する。






敦「…そうだったんですか」

太「とりあえず続きを読もうか」






暗号文を指でなぞりながら、私はそっと息を吐いた。



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