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捌拾漆. 痛み ページ8

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白鯨内に響く、彼の声と警告音。


内容は、『虎が逃げた』。





僕は1人、ベッドに座りながら、窓の外を眺めて安堵の息を洩らす。






「…上等」







ルーシーは、ちゃんと手紙を渡してくれただろうか。

…あの手紙は何も、敦くんに読ませるために書いたわけではない。




こうなることを望んで、彼に託しただけだ。






フィ「A!」

「っ、来ないで、ください」






扉が勢いよく開き、フィッツジェラルドが入ってくる。


…彼の表情には、焦燥の色が浮かんでいる。






フィ「今の放送を聞いただろう」

「ええ。…僕の部下が逃走したそうですね」






僕は彼を見ずに、そっと視線を落とす。


その瞬間、僕の体は力強く抱き締められる。






「っ何を、」

フィ「…許してくれ、A。私には君が必要だ」






耳元で響く声。


僕は抵抗せずに、ぼんやりとその言葉を脳内で反芻する。






「初めてお会いした時も、貴方はそう仰いましたね」

フィ「…ああ、」


「でも僕は、貴方を許すことは出来ない」







…何故か、声が震えてしまう。


僕を抱き締めている彼は、何も答えない。







「…貴方が敦くんを手に入れようとする理由も分かります。
ですが彼はまだ、自分が座標であることを知らない」

フィ「そのようだな」


「それに彼は、貴方が思うほど弱くない。
ギルドにとって、充分に脅威と成りうるはずです」






僕は、ぽつんと呟く。







フィ「…何故、そこまで探偵社にこだわるのだ」


「僕が探し続けている何かが、あそこにはあるからです」






僕がそう言うと、彼の腕の力が強くなる。







フィ「君が探しているものは、何だ」

「…分からない」


フィ「…私には、無いと言うのか」

「今の貴方は、僕がかつて愛した貴方ではな、っ」







苦しそうな、表情。

…この男のこんな表情を、見たことがあっただろうか。




強く掴まれた手首が、痛い。






…こんなにもこの男を恐ろしいと思ったのは、初めてだった。



.

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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Rain(プロフ) - 突然すいません!この作品が、とても面白くて好きです!続編楽しみにしてます! (2016年12月27日 22時) (レス) id: 5eaacd6e9b (このIDを非表示/違反報告)
シェエラ(プロフ) - いつも楽しく読まさせていただいています。続編楽しみにしています。 (2016年12月27日 19時) (レス) id: e4ad18c1a6 (このIDを非表示/違反報告)
yukka_setuna_syota(プロフ) - 続編楽しみです!!!これからも頑張ってください!! (2016年12月27日 15時) (レス) id: 7eb3008315 (このIDを非表示/違反報告)
Chikaのほい(((プロフ) - おぉぉ!続きが凄く楽しみです!更新頑張ってください! (2016年12月27日 14時) (レス) id: f4f8a58d61 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 第二期、終わってしまいましたね…私も第二期のOP、ED共にお気に入りだったので、最終回の入れ方に鳥肌がたちました!深夜にTVの前で発狂してましたw第三期フラグが完全に立ちまくってたので、原作のストックがたまるのを今か今かと待ってます…更新頑張ってください! (2016年12月23日 0時) (レス) id: 1eec9432d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年12月3日 15時

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