【文スト】肆 全身黒の、美しいひと。【男主】

玖拾捌. 作戦 ページ19

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【フィッツジェラルド 視点】









2人きりの部屋の中。



Aは真ん中に置かれた椅子に座っている。







「…彼女の作戦立案力は素晴らしいものですね」


フィ「Aもそう思うか」


「ええ。…ですが、ひとつ欠点が」

フィ「長さか？」

「いいえ、長さは関係ありません。…僕の予想を、見事なまでに裏切らない点です」






にこりと、彼が微笑む。


…その表情からは、何の感情も読み取れない。






フィ「…何だと、」

「まあ、最初は戸惑いましたけどね。…あまりにも芸風が変わっておりましたから」






…かつて、全ての作戦を立案していたのは紛れもなくAだ。

ただの一度も、失敗したことは無かった。




となると、…まさかAは、







フィ「…こうなることまで、見越していたというのか」


「ちなみに白鯨を墜落させるというのはうちの優秀な社員(・・・・・・・・)も想定していたみたいですよ。
…彼女の作戦は綿密に考えられてはいますが、少し単調過ぎる」






そう呟くAの表情は、うかがい知れない。






フィ「…このタイミングでそれを言うということは、何か意味があるのか」


「僕が全くのノープランでここに来る筈は無いでしょう？
…当初考えうるギルドの動きは243通り。
客船が爆発したのは想定外でしたが、それにより一気に可能性は18通りにまで絞られました」







243から、18まで。

約27分の2か。




…そこまで想定するとは、さすがとしか言いようがない。






フィ「A、君は…」

「…貴方は変わってしまった。だから僕は、此処で貴方を悔い改めさせる」





そう言ってAは立ち上がり、ポケットから何か紙片を取り出した。




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