【文スト】肆 全身黒の、美しいひと。【男主】

玖拾参. 一週間 ページ14

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【国木田 視点】









今日は一日中、太宰の様子がおかしい。




朝はぐうたらしていたかと思えば、あの密会後は機嫌が悪い。

そして今は、珍しくぼんやりとしているらしい。





別にそれがどうというわけでもないが、多少目障りではある。







太「ねえ国木田くん」

国「何だ」


太「彼、無事かなあ」

国「…ああ、Aさんか」






敦が預かった手紙。


暗号で書いてあったため俺には内容が分からなかったが、あれは彼が書いたものらしい。





谷「…心配ですね、やっぱり」





…そのことに関しては、太宰の気持ちも分からんでもない。





Aさんがギルドのところに行くのは当初の予定では5日間だったからだ。

だが、既に1週間は経過している。



おまけに、かなり痩せてしまったという話だ。







太「…ともかく、今夜はQを奪還する。そうすれば、一歩近づけるに違いない」


国「それはそうだろうが、無理はするな」

太「ああ、分かってるよ」







…此奴もそうだが、Aさんは時々分からない時がある。

何かを渇望し、その為にはどんな手段も厭わない。





それは或る意味で呪いであり、悪夢だ。






谷「…コーヒー入れましょうか？」

太「じゃあよろしく」







だがそれ故、二人は独特の雰囲気を常に纏っている。


彼等が求めているものは、…きっと何年かかっても俺には分からないのだろう。




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