053 鎧と外套 ページ9
ああ……どうしよう
人の姿でない今、私には何もできない
私の意識からできたこの空間から部屋を眺める事しかできない
早く本丸へ帰らなくてはいけないのに
皆が心配してしまう
……そうだ
そもそも、私が偽物に騙されなければこんな事にはならなかったのだ
全て私が悪いのだ
全て、私が……
座りこんだ私を、正体不明の闇が呑み込んでいく
私も堕ちるのだ
本の中の男のように
――ごめんなさい、皆さん。私は、帰れそうにありません……
頬を冷たい涙が流れた
・
重力を感じる
両足が地面を踏んでいる
私は、顕現されたのだろうか
『A、目を開けて』
どこかで聞いたような声が聞こえて、伏せていた瞼を上げる
目の前には、黒髪の、キリト様を彷彿とさせる人が立っている
「……貴方が、私の主さまですか?」
『そう。俺の名前は
「……はい」
桐『A、早速で悪いんだけど、出陣してほしいんだ』
「出陣、ですか?」
その問いに、主さまは頷く
桐『2026年に行って、"光の巫女"を探しておいで』
「光の巫女……」
大丈夫だろうか、怪我をせずに帰ってこれるだろうか
私は、
桐『心配そうだね。大丈夫、君には十分な力がある。それに、今回は人探しだから、斬る必要は無いしね
でも、身の危険を感じたら人を斬っても構わない。君の命が最優先だ』
主さまは、私に優しく話しながら私の頭を撫でていた
この方は、とてもお優しい
「はい。頑張ります」
ならば、私はその優しさに応えられるように尽力するのみ
「では、準備をしてきますね」
桐『ああ。行ってらっしゃい』
私に与えられていた部屋に行くと、そこには薔薇の装飾が施された水色の鎧が置いてあった
その隣に、綺麗にたたまれた青い外套が置かれてある
それらを身に着けて、腰に剣があることを確認してから主さまのところへ向かう
桐『光の巫女がいる場所は詳しく分かっていないんだ。どうしても見つからないときは、物を壊しても構わない』
「はい」
桐『頑張ってね』
「はい。行って参ります」
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白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつもいつも楽しみにさせて頂いております!これからも更新頑張ってください! (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白(あきら) | 作成日時:2019年10月13日 2時