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052 たすけて ページ8

時は少し戻って、青薔薇が攫われて4時間が経った頃



「んう……」

……私はまた眠ってしまっていたのか

頭がぼんやりする……きっと寝ぼけているからだ

『あ、起きたかい?』

「っ!!」

私は目の前にいた偽物を見て、飛び退こうとするが、足は地面を蹴る感覚を伝えてこない

驚いて下を見ると、足が数セン地面から浮いている

それに気づいた瞬間、腕に大きな負荷を感じ、両手首に違和感を覚える

私は両手首を拘束されて、鎖で天井から、足がつかないギリギリのところで吊られているのだ

『どう? 僕お手製の拘束具は?』

「貴様っ! 私に何をするつもりだ!!」

『そんなの決まってるじゃないか。君を僕たちの仲間にするのさ』

「お前たちの仲間になんてならない!」

今の状況では、こうやって叫ぶのが限界だ

『君の意見なんてどうでも良いよ。それに、そういうことは、その鎖を自力で切れるようになってから言ってよ

ま、簡単には切れないけどね〜』

確かに、この鎖は通常の物よりも太い

女の私では切ることは出来ないだろう

『じゃ、僕はあの人から呼ばれてるから。君の剣は君の後ろの壁に立て掛けてあるからね

……あ、そうそう。これ、忘れ物だよ! どうぞ!』

そう言って偽物が取り出したのは、あの硝子の薔薇だ

偽物はそれを私の服についているポケットに入れた

彼はそのまま部屋の外へ消えた

……まずい

ポケットの中の物は簡単に取り出せない

手は当然使えないし、足も無理

体を捻っても、出てくる気配はしない

――あの偽物、何が何でもこの薔薇を私に持たせたいのね

その理由は、この薔薇が機能を発揮したときに分かるだろう

そうこうしているうちに体から力が抜けていく

――ああ、そっか……これは、そういう物か……

視界がぼんやりとしてきて、足先の感覚がなくなってくる

私の中の何かが吸い取られていく様だ

……いや、本当に吸い取られているのだが

ポケットの中の薔薇が淡い光を発している

薔薇は、私の霊力を吸い取っているのだ

もう、膝から下の感覚は無く、足首から先は消えている

ゆっくりとだが、確実に顕現が解かれていく

「……主さま……」

まだ動く口を懸命に動かして、大切な人の名前を呟く

「ユージオ様、夜空、金木犀……

白み、つ……

た……すけ、て……」

そこで私は剣の姿に戻った

053 鎧と外套→←051 青薔薇はどこだ



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白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつもいつも楽しみにさせて頂いております!これからも更新頑張ってください! (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白(あきら) | 作成日時:2019年10月13日 2時

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