068 どうして ページ24
アスナ「Aちゃん……どうして……」
青薔薇の剣が武装完全支配術によって男士達を拘束し、屋敷の中に戻っていったあと、1人だけ氷に縛られなかったアスナはそれだけを呟いた
男士達の氷は首の下まで伸びており、幸いにも顔は氷の外だ
夜空「主、少し離れてた方が良いぜ」
アスナ「う、うん」
夜空の言葉に素直に頷き、数歩下がると、金木犀の声が響いた
金木犀「……エンハンス・アーマメント」
剣が鋭い花弁たちに分かれて氷を削り落としていく
ほとんどの氷が取れて自由になった5人は、各々で氷の欠片を払い落としながらも険しい表情をしていた
アスナも眉を八の字にして俯いている
それに気づいた乱が声を掛ける
乱「主さんの所為じゃないんだから、そんなに気にしちゃだめだよ!」
アスナ「でも……Aちゃんを……」
三日月「まだ終わった訳ではないぞ。厚樫山で雄と戦ってから4時間半、Aが攫われてから17時間半が経ってるが、まだ6時間半も時間がある
まだ諦める場面ではないぞ、主よ」
アスナ「……うん、まだ、助けられるチャンスはあるよね……! 皆、もう少しだけ、頑張ろう!」
***
「っ……」
どうしてだろう
どうして、あそこで止めたのだろう
私は氷で自由を奪っただけで、
あのまま薔薇を咲かせていれば、あの部隊を全滅させることも出来たのに
それに、あの審神者に何もしなかったのが一番の謎だ
……私は、どうかしてしまったのだろうか
「……ああ、頭が痛い」
短時間で頭を使い過ぎてしまった
一度落ち着こうと、すぐ近くにあった資料室に入り隅に座る
しかし、私の頭の中には金木犀の必死そうな、夜空の苦しそうな表情がこびりついていて、考えるのを止めることは出来ない
あの表情を思い出すと、彼らの笑顔が見たいと心の底から思うのと同時に、そんな表情をさせているのは自分なのだという事実を突き付けられて胸も痛くなってくる
「結局、私はただの我儘なんだな……」
1人で自虐的に笑うが、心は何かを求めていて、まだまだ考えは巡る
「笑顔……笑顔か……」
その言葉が脳をチクチクと刺激して、何かを思い出せそうな感じがしてくすぐったい
しかし何も思い出せずにその感覚は遠のいていく
――何か大切なことを忘れている気がするのにな
そこで俯いていた顔を上げる
棚いっぱいに色々な題の資料が置かれてある
「あ……」
私は、その中の一冊に手が伸びた
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白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつもいつも楽しみにさせて頂いております!これからも更新頑張ってください! (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白(あきら) | 作成日時:2019年10月13日 2時