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062 なんで ページ18

剣は雄の胸の中心辺りに深々と刺さっている

……しかし、

雄『それで終わり?』

アスナ「な、んで……」

雄は笑顔で、右手を突き出した姿勢のアスナを見下ろした

先刻までの表情と何も変わったところは無いのに、今の彼の笑顔は、少し離れた位置にいた刀剣男士たちですらも冷や汗をかいてしまうものだった

ユージオの目と同じ色でありながら、そこに入ったら二度と戻って来ることができないような濁りを持ったそれを間近で見たアスナは、そこから動けなくなってしまった

頭の中が恐怖で埋め尽くされてしまったのだ

雄『終わりなら、反撃をさせて貰うよ?』

雄が胸に刺さっていた剣を掴み、ゆっくりと引き抜く

アスナは、その場に立つことで精一杯で、右手から力が抜けた

雄『わあ、この剣綺麗だね。政府からの贈り物?』

血の一滴も付いていない細剣を持った雄は、その場の雰囲気にそぐわない事を言いながら、アスナを一瞥した

今剣「あるじさま!!」

咄嗟に危険を感じた今剣が主を庇うように立ち、5人は雄に向かって走っていく

雄『邪魔だよ』

雄は細剣を最小限の動きで操り、今剣も含めた6人を弾き飛ばした

その様子を見ていたアスナは、絶望で全身の力が抜けてその場に座り込んでしまった

俯いた視界に、雄の靴が映る

――キリトくん……

不意に、アスナは愛人の名を心の中で呟いていた

己の死を感じたからかもしれない

乱「あるじ、さん……」

――最期に、キリトくんとユイちゃんに会いたかったな……

雄『どう殺してあげようかな。やっぱり、痛いと嫌だよね?』

金木犀「主……逃げろッ!」

アスナの耳には、雄の声も金木犀の声も聞こえていなかった

ただ、剣が自分に振り下ろされる時を待っていた

――ダメだよアスナ。諦めないで

アスナ「っ!?」

その為、何の前触れもなく聞こえた声に、アスナはとても驚いたと同時に涙が溢れてきた

雄『……なに泣いてるの?

ああ、死にたくなくて泣いてるんだね。大丈夫だよ、無痛で逝かせてあげることにしたから』

アスナ「ユウキっ! そこに居るんだね!?」

――いるよ。ボクはいつまでもここにいる

アスナ以外のその場にいた者が首を傾げる中、アスナはユウキの声に集中し続けた

――ここで諦めちゃだめだよ。アスナには守るべきものが沢山あるんだから

――さあ、今こそ"あれ"を使うときだよ。剣はボクのを貸してあげるから

アスナ「うん。ありがとう、ユウキ」

意識を戻すと、右手には黒曜石の剣が握られていた

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白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつもいつも楽しみにさせて頂いております!これからも更新頑張ってください! (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白(あきら) | 作成日時:2019年10月13日 2時

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