唯一無二の貴方。2【キングダム】

責任とって。2 ページ49

.



「我呂、最近Aの様子がおかしくねェか？俺が話しかけても上の空でボゥとして」

「まぁ…そうかもな」


その原因を作った俺は、信の隣にいる居心地の悪さ。真っ直ぐな目で問われると、俺が何をしたのか嫌でも思い出して。

俺にとっては悪くない出来事でも、Aにとっては…どうなんだろう。あれからまともに口も聞いてくれず、避けられているのは明らかで。


「よっ、こんなとこで一人黄昏て、みんな心配してるぞ」

「…っ！？」


普段通りに肩に手を回したつもりだった。いつもならお前から抱きついてくるのに、やめてと俺の手をAは乱暴に払う。そう、本来ならこの距離感が普通。血の繋がりがないとはいえ、兄として思っているならベタベタと互いの体に触れたりしない。

普通なんだけど……普通ではなくて。


「悪かった…。もう、前みたいなことしねェから」

「え…、」

「嫌だったんだろう？信が好きだってわかってたのに、俺が何もかも奪ったこと。でも、俺は後悔してねェ。他の男のモンになるって言うなら。お前の初めて奪ってもバチはあたらねェはずだ。ずっとお前に惚れてたんだからよ」


言うだけ言ってその場を離れようとしたのは、自分の思いと決別するため。ここで思いを捨てて、また兄としてAの側にいたい。

どんな形でも側にいられるなら。


「へ、返事いらないの？」

「返事って……フラれる返事誰が聞きたい？」

「フラれるって決まった訳じゃないのに？」


立ち上がる俺の腕をAは掴んで引き止めた。チラチラと俺を見るAの顔は真っ赤で。その反応に嘘だろうと、思わず声に出す。


「私…我呂にその…抱かれてからおかしくて。あの時の体験が忘れられない…。優しい声に、逞しい体に、もの凄く……気持ちよくて…。」

「それって…俺が好きってことか？」

「うん…。信が好きだと思ってたのに、我呂があんな事するから。責任とってくれるんだよね…？」

「元より責任ならとるつもりだ。お前の初めてを奪ったこと。これからのお前の人生も全部ひっくるめて、責任とってやる」


言われなくても、俺の側にいて欲しいのはAだけ。
そして、お前の側にいるのもこの先ずっと俺だけだ。

作者より。→←責任とって。1 我呂

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す