恋愛対象。1 呉鳳明(リク) ページ32
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「それ、上手いか?」
「ん?美味しいよ。食べる?」
箸で摘まんだ食べ物を真向かいに座っている鳳明の口元まで持っていくと、いらないと拒まれた。
じっと私の事を見つめているから食べたいのかと思ったのに…。
「ごめんね、私の口付けたモノは嫌だよね」
「いや、別にそうではない」
「昔のような感覚で接してたけど、鳳明も今じゃ魏国を代表する総大将だもんね…。幼なじみって言っても、これからは距離を置いて…、」
「なぜ、そんな事を言う?距離を置くなど…俺が嫌いか?」
椅子から立ち上がった鳳明は私の側まで歩いて来ると、手を伸ばし頬に触れてきた。
子供の頃から知っている鳳明の手、触れられた時の感触。知っているはずなのに、今は大きく大人の男性の手。
「A…。」
名前を呼ばれてドキッとした。
なんか変……。
どうして、こんなにも鼓動が早くなるの。
相手はただの幼なじみなのに。
「なぁ、覚えてるか?」
「え、何?」
「お前の恋愛対象って、昔から年上だったよな?知略に優れ武も強くて、寛容で大人の余裕がある男が好みだと言っていただろ?」
「う、うん。そんな事よく覚えていたね。鳳明は自分の好みのタイプ全然教えてくれないのに」
昔から私の事は色々と知りたがるのに、自分の事は全くと言っていいほど鳳明は教えてくれない。どんな食べ物が好きとか、どんな事に興味があるとか。私の異性のタイプまでも。
何でそんな事聞くのって尋ねたら、決まって内緒だと答える。
「俺には心に決めた奴がいる。少しでもそいつの理想の男に近づく為に、必要な事をお前に聞いているんだ」
「鳳明好きな人いるの…?」
「ああ」
鳳明の言葉に動揺してるのは私。
別に好きな人がいてもいいじゃない。整った容姿の鳳明に好意を持っている女の子は多いと聞く。
現に私の友達にも鳳明を好きな子がいて…。
「そっか。好きな人がいるんじゃ私も鳳明の部屋に出入りするの控えないとね」
「そんな必要はない。お前は特別だ」
「特別…?私が幼なじみだから?」
「はぁ……。いい加減俺の気持ちに気づけよ」
鳳明はため息を一つ。
私の腕を引っ張ると、自分の胸へと私を抱き寄せた。
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まどか - 本編のほうのパスワードを教えてください。 (2022年8月3日 18時) (レス) id: 424ebb80af (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコ(プロフ) - 唯一無二の貴方2がみたいのでパスワードを教えて下さい。 (2022年7月30日 19時) (レス) id: 42086511e3 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - あおさん» リクエストありがとうございます。那貴は今まで書いたことないキャラです。大人な雰囲気があって格好いいですよね。余り感情を表に出さないキャラだと思いますが、主人公と二人きりだとデレてくれたら…そのギャップに萌えそうです笑。番外編で待ってくださいね! (2020年3月5日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 初めまして、コメント失礼いたします。遅ればせながらbluemoon様の作品を楽しみに日々生活させて頂いております!リクエストさせてください!大好きな那貴のお話書いていただけたらな、、と思っております!是非お時間あればお願いしたいです^_^ (2020年3月5日 1時) (レス) id: 78f704a63d (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - とりけらとぷすさん» 私も輪虎は書いていて楽しいキャラでもあります。無邪気で子供みたいな性格が可愛いなと想像しながら、毎回書かせていただきました。リクエストありがとうございます!番外編2の方でお話しを書きたいと思います。待っていてくださると嬉しいです(^-^) (2020年2月19日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年7月20日 9時