どっち。1 昌平君×李牧(リク) ページ23
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「先生、部屋の準備ができました」
「ああ。もうじきここに趙国宰相、李牧という男が来る」
「趙国の宰相……李牧さん」
敵国の宰相がわざわざ危険をおかしてまで秦の王都である咸陽を訪ねてくるとは、一体どんな用なのだろう。
「あの、先生。その李牧さんは何をしに…、」
「A、なぜそのような質問をする?ただの好奇心か?軍師としての血がそうさせるのか?それとも――李牧自身に興味があるのか?」
答えろと先生に詰め寄られた私は思わず後退り。背中に当たるのは壁。逃げ場を封じるように私との距離を縮める先生。
普段見慣れた先生の顔なのに……至近距離でじっと見つめられるとドキドキと胸が高鳴る。でも、それは天才軍師と評される先生を尊敬しているからで。
そこに特別な感情はないはず…。
「お前は軍師の才に恵まれているが、少々人の感情には疎いようだな。私情を挟むなどらしくないとは思うが、お前には…Aには必要以上に干渉してしまう。きっと、私が今こうしてお前に触れても、なぜなのかわからないのだろう」
私の頬に触れてきた先生の手は優しく、温かい。いつもみたいな鋭い目で皆を見るのではなく、私に向ける眼差しは柔らかいような、切ないような、二つの感情が入り交じったように揺れていた。
「…っ、先生何を…、」
「黙っていろ」
私の服に手をかけた先生は肩口まで布をずらし、胸元に顔を埋めてきた。先生の突然の行動にすでにパニック状態の私は、動くなと言われたまま拒むこともできず。ただ、羞恥に顔を赤くするしかない。
「この香りを、男を誘惑するこの力を外に放つな。お前の容姿に惹かれ近づく男など対して問題にはならぬが、この力は別物。お前の意志どうこう関係なく、力を前にすれば男はお前を堪らなく欲しくなる。現に私がそうであるように」
熱く湿った舌が胸元の文様をなぞり、きつくその部分を吸われた。まるで自分のモノだと言うように、先生は何度もその部分に口づける。
チクッとした痛みとともに、ざわざわとした快感。
自分の息が上がっていくのがわかる。
「――っ、先生っ」
「うーん、これは見てはいけないような場面ですよね?ここ、私に用意された部屋で間違いないと思うんですけど」
聞こえてきた声に大きく目を開いた私と目が合った男の人は、ニコニコと人当たりの良い笑顔で私に笑いかけてきた。
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まどか - 本編のほうのパスワードを教えてください。 (2022年8月3日 18時) (レス) id: 424ebb80af (このIDを非表示/違反報告)
ニャンコ(プロフ) - 唯一無二の貴方2がみたいのでパスワードを教えて下さい。 (2022年7月30日 19時) (レス) id: 42086511e3 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - あおさん» リクエストありがとうございます。那貴は今まで書いたことないキャラです。大人な雰囲気があって格好いいですよね。余り感情を表に出さないキャラだと思いますが、主人公と二人きりだとデレてくれたら…そのギャップに萌えそうです笑。番外編で待ってくださいね! (2020年3月5日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 初めまして、コメント失礼いたします。遅ればせながらbluemoon様の作品を楽しみに日々生活させて頂いております!リクエストさせてください!大好きな那貴のお話書いていただけたらな、、と思っております!是非お時間あればお願いしたいです^_^ (2020年3月5日 1時) (レス) id: 78f704a63d (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - とりけらとぷすさん» 私も輪虎は書いていて楽しいキャラでもあります。無邪気で子供みたいな性格が可愛いなと想像しながら、毎回書かせていただきました。リクエストありがとうございます!番外編2の方でお話しを書きたいと思います。待っていてくださると嬉しいです(^-^) (2020年2月19日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年7月20日 9時