107.班。 信side ページ9
.
なぜ、お前の事が心配なんだと言えない。そのたった一言も言えず、不安を煽ることばかり告げて出てきてしまった。
後悔するなら、初めからあんな事口にするんじゃなかった。
ぐしゃぐしゃと頭を掻き回す俺を左隣にいた羌瘣が無言で見つめていた。
「わかるぜ信。お前の気持ち…。」
「尾平?」
何がわかるのか、右隣にいる尾平が俺の肩に手を置いて深いため息を吐く。
「俺達の班があの縛虎申千人将の班になるとは…。もう死んだも同然」
「は?どういう事だよ?」
「お前も見ただろ?意見しに行った兵が縛虎申千人将に斬り捨てられたところを。味方の兵だぜ?今から死地に向かう味方にあの仕打ちはねぇだろ」
確かに、尾平の言葉も一理ある。
合流地である亜水から、この蛇甘平原に突然進路を変更された。当初の目的地は丸城。次に亜水。二度も合流地を変更され、昼夜とわず訳もわからず走らせた。
中にはその事に疑問を持っている兵もいるはずだ。その疑問を縛虎申将軍に尋ねた兵が、目の前で斬られた。それを目の当たりにした尾平がビビるのも無理はない。
高圧的な態度で味方の兵に圧をかけてくる縛虎申将軍より、壁のあんちゃんの班が攻守ともにバランスが取れている。
それにさっきの壁の激。
"血を流すことをおしむな!!死ぬことをおしむな!!栄えある大秦国の歩兵達よ!力続く限り斬って斬りまくれ!!"
味方の士気は高まり力が湧いてくる。
千人将はダテじゃないか…。
「あの子…。」
珍しく口を開いた羌瘣が、見つめている視線の先。
「……A…。」
「知り合いか?」
「お前には関係ねェ」
「アイツ、羌瘣並みに小っこいな。マントで顔隠してやがるが、だいたい見た目から入ってるってのが気に入らねぇ。俺達と同じ縛虎申隊になったみたいだが、あのガキ早死にするのが、」
「…なこと、させるかよ…!俺と同じ隊になったなら好都合だ。あいつの事は俺が守ってみせる」
どういう事かと首を傾げる尾平に、羌瘣は無言のまま俺を見つめていた。
794人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか?すごく面白くて一気読みしてしまいました! (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ!体調大丈夫ですか?心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています!ゆっくり休んでくださいね! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます!更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:bluemoon | 作成日時:2019年6月9日 7時