134.交換条件。 ページ36
.
「いっ…っ…!!」
握られた足の痛みに苦痛の表情を浮かべる私の顔を見て、お頭はどこか楽しそう。負傷している場所をわざと狙うなんて、この人本当に性格が悪い。
「人を痛めつけて、楽しいですか…っ!」
「楽しいな。拷問は俺らの最も得意とするもの。大抵のヤツなら与えられる苦痛に喚き散らしながら命乞いするもんだが。お前も体験してみてェか?」
「…っ…わ、私に何かあったら父上が黙っていないと思います」
「父上?」
「王騎将軍の事です。私、王騎将軍の娘です!」
「お前が王騎の娘…?」
お頭は訝しげな表情で私を見た。
話を逸らす為の嘘だと思われないだろうか。証明して見ろと言われたらどうしようもない。容姿も似ていない。親子だと裏告げるものは何もない。そもそも、この人相手に通用するのか。
「笑えねェ冗談はよせ。ヤツにガキがいたなんて話聞いた事は、」
「私養女なんです。身寄りのない私を王騎将軍が面倒みてくれて…。」
「身寄りのねェガキなんていくらでもいるだろ」
「そうですけど…。」
私の持つ魅了の力も関係しているとは流石に言いづらい。
目を逸らせば、逸らすなと痛む足をまた掴まれた。
「それっ…本当に止めて下さいっ…!」
「まだ俺に隠してることあるんじゃねェか?疚しい事があるから目を逸らしたくなるんだろ」
「だとしても、知り合ったばかりの素性のわからない人には言いたくありません」
「なら親しい間になれば問題ねーわけだ」
「何言って、」
近づいてきた顔に何をされるかとぎゅっと目を閉じたが…。
何も起きなかった。
これじゃまるで私がキスされるのかと勝手に想像して目を閉じたみたいで、なんて言うか逆に恥ずかしい。
「ガキには興味ねェって言ったろ」
「知ってます!」
「ガキには興味ないが、お前なら話は別だ」
「私はべつ…?」
「どんな手を使ったか知らねェが、王騎を手玉にとったように俺を翻弄してみせろ。それが、お前をここから解放してやる条件だ」
翻弄してみせろって……どう考えても無理だ。
そもそもこんな得体の知れない人をどう扱えと。
「体から始まる関係ってのも悪かねェよな」
そんな関係こっちからお断りだと睨み付ければ、不敵な笑みで返された。
795人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか?すごく面白くて一気読みしてしまいました! (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ!体調大丈夫ですか?心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています!ゆっくり休んでくださいね! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます!更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:bluemoon | 作成日時:2019年6月9日 7時