125.見知った顔。 ページ27
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「どけっ、こんなもん蹴破って…。」
開けれると思って加減なく扉を蹴破った信は弾き返され、あけっなく重厚な扉の餌食になった。痛みでその場に信は踞る。
「ムダだ。この扉はタジフの石球でも破れない。……やられたな」
腕を組み何かを考えている政に
「どういうこった…まさかここを通るのが…。」
「ああ。読まれていた」
「そんな…。でも、ここは王だけが通る秘密の抜け道って」
「そ、そうだよ!Aの言う通りなら、読むも何もないはずだぞ!」
「誰かに言っちまったのか?」
抜け道に関しては、側近でもある昌文君すらも知らないと政は首を振る。秦国において、この抜け道を知っているのは二人だけ。泣き父荘襄王に直接教わった自分と、かつて荘襄王に仕えその全てを把握していた男。
「それってまさか…大王様…。」
向ちゃんには政が言おうとしている人物が誰なのか分かっているのか、青ざめた表情をしていた。
「ああ。呂氏だ!」
「なっ!?呂氏ってお前の後ろ盾の丞相じゃ…!」
いいかけた信が何かに気づいて後ろを振り向く。
暗闇に目を凝らすと、誰かがいる。
少なくとも相手は一人ではない。
「退がってろお前ら」
私達を守るように剣を構えた信が前へ出た。隣にいる貂が吹き矢を口に宛がうのを見た私も、腰に差していた短刀を引き抜き構える。
「A、向と一緒に俺の後ろに隠れていろ」
「私も戦う」
「お前には無理だ。怪我をさせたくない」
「大丈夫。私だって戦場経験はした。戦うことも覚えた。父上の元でただ日々を過ごしていた訳じゃないから」
「フッ…やはり俺の読み通り戦に参加したんだな」
私が戦場に出るだろうと大王が心配していたと壁さんに聞かされ、思った通りの展開になった事に、政は私を見つめて微笑んだ。
「全く…お前にはいつも驚かされる。危険だとわかっていながら自ら飛び込んで行くとは」
「政…。」
「だからこそほっとけない。手元に置いて置きたくなる。……いいか、無理だけはするな」
政の言葉に頷き、歩いて距離を詰めてくる刺客達に視線を戻した。
「あ……あいつがいる」
貂の驚く声。
あいつとは誰なのか。
大柄な男の後ろに見えた人影。
その姿に見覚えがあった。
魏での戦で共に死地を切り抜けた仲間。
だからこそ、わからない。
なぜ、その人物があちら側に…刺客の中にいたのか。
126.倒れる訳にはいかない。 信side→←124.脱出への手段。
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bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか?すごく面白くて一気読みしてしまいました! (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ!体調大丈夫ですか?心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています!ゆっくり休んでくださいね! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます!更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年6月9日 7時