100.一番の理解者。 ページ2
.
「あ、あの…。」
「今集中している。声をかけるでない」
「そうなんですけど…向こうから父上が凄い勢いで、」
「なっ何!?なぜ、もっと早く言わぬ!!」
私の両手を掴んで何かぶつぶつと言葉を唱えていた神様は、父上がこっちに来るの一言に焦っていた。
「あの男に捕まったら神様の私でも無事ではすまん。悪いが、説明をしてやる時間はなさそうだ」
「またですか!?」
「仕方ないだろ!!」
「せめてどんな力なのか簡単な説明だけでも、」
「必ず戦でお前の助けとなるはず。強さを授けたが、不死身ではない。己の力を過信せず闇雲に動くのは止めろ。さすればこの動乱の世を生き抜くことができるだろう。いいな、私の忠告を忘れるな!」
握りしめていた私の手を離した神様は、脱兎のごとく逃げて行った。意味深な言葉だけを残して。
「あの男は何処に行きました?Aの手を握りしめ、まさか告白などされていたんじゃないですよねェ?」
「それはないです。あの人はなんて言うか、昔からの知り合いで…。色々と私の面倒を見てくれていたと言うか…。」
正直に父上に話したところで信じてもらえるかわからない。"時の神様"だと説明して、はいそうですかと納得してくれるのか……。
「A、父である私に隠し事はやめなさいと前に言ったはずです」
「それは…。」
「やはり…本当の父ではない私には全てを打ち明けることなど出来ないですか。どんな事でも娘の貴女に言われたことなら、信じるつもりでいたんですけど」
「ち、違う!私はそんなつもりじゃ…。」
「寂しいものですねェ…。」と呟き、私に背を向けて歩き出す父上。
なぜ、何も告げていないのに端から信じてもらえないと決めつけてしまったんだろう。話してもいないのに初めからわかってもらえないと。
「父上っ!あの私…父上にまだ言ってない事があります。でも、その話の内容が普通では考えられない事で…だからその、」
「娘の言葉なら、どんな奇怪な出来事でも信じます。私はAの一番の理解者だと、そう自分で思っているんです。これから先もずっとそうでありたい」
「父上…。」
振り向いた父上が「側に来てください」と両手を広げた。
だから私は、迷うことなくその胸に飛び込めばいい。
一番の理解者のその胸に。
795人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか?すごく面白くて一気読みしてしまいました! (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ!体調大丈夫ですか?心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています!ゆっくり休んでくださいね! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます!更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:bluemoon | 作成日時:2019年6月9日 7時