99.第二の力。 ページ1
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「もうっ、何で当たらないかなぁ…。」
握りしめた弓を手に、遠く離れた的に矢を放つが狙い通りの位置には当たってくれない。幼い頃から鍛練に勤しんでいたなら話は別。だが、戦いなど無縁の世界に育った私が数ヶ月で習得など出来る筈がない。
練習は欠かさず毎日していても、やはり生まれ持った武の才能は必要。
父上から近々戦があると聞かされて、戦場に立てるだけの力を身につけたいと思ってもどうすればいいのかわからず、項垂れる日々。
「時の神様も授けるなら魅了の力じゃなく、武の力にしてくれればよかったのに、」
「それに関しては、私も同感だ」
「だ、誰!?」
「しーっ!!大きな声を出すな。あの王騎とかいう男に見つかったら私の身が危ない」
演習所で一人練習をしていた私の背後から現れた人物。その姿はどこにでもいるような中年のおじさん。
「お前今失礼なこと思っただろ?この姿は世を忍ぶ仮の姿。本来の私はもっと神々しく、」
なんかこのやり取り昔にもした記憶が…。
確かあの時はこの世界に私が連れて来られて、それも時の神様の時間旅行に巻き込まれたのが事の発端で。
「……もしかして時の神様?」
「暫くぶりだな。数ヶ月見ない間に成長したみたいだが、それも私が授けた力のお陰と…なぜ睨む?男共を上手く手玉に出来ていないのか?」
「手玉にとるどころか余計に厄介な事になってるんですけど…。」
「それは見ていて知っているが、」
「……そうですか。見ていたんですね?」
「いや、まぁ…それなりに。神様だから、って弓を人に向けるでない!!」
「人ではなく神様に向けているんです」
「なんとバチ当たりな!」
大袈裟に私の側から離れていく神様に、「何をしに来たんですか。私は暇じゃないんです」と冷たくあしらう。実際暇じゃないと言ったのは本当のことで。強くなる為に今は時間が惜しい。
「前にも述べたように、非力なお前をこの世界に導いた責任は私にある。よってお前に第二の力を授けよう」
「第二の力…?」
首を傾げる私に、神様は両手を前に出せと言ってきた。
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bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか?すごく面白くて一気読みしてしまいました! (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ!体調大丈夫ですか?心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています!ゆっくり休んでくださいね! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます!更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年6月9日 7時