310.約束しろ。 ページ22
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「A様、少し休まれますか？」
「大丈夫です。休んでいたら、追いつかなくなるかもしれないので…！」
休まず馬を走らせる私に並走するのは、蒙武軍直属の家臣。私の護衛も兼ねて、目的地まで数騎で駆ける。秦領内とはいえ、どこに敵が潜んでいるかわからない私への配慮だった。
突然伝令が下ったのは数刻前。私を呼びにきた蒙恬さんの家臣に連れられ、天幕内に入ればそこにいたのは蒙武将軍。楚軍大将汗明との死闘を繰り広げ大怪我を負ったのに、本人はその勢いのまま進軍し、楚軍を壊滅寸前までに追い込んだ。
中華最強の名をかけて戦った戦は、蒙武将軍に軍配が上がった。秦国にとっては大きな勝利をもたらし、秦軍の士気をより強く高めた。逆に敵軍にとって汗明将軍打ち死には、多大な損失と波乱をよんだ。
蒙武将軍には、別の場所でお前の力を役立てろ。それと、蒙恬さんの怪我の礼を言われた。次の戦場に付くまで護衛をつけるとも。
私に下った伝令を告げに行くと、蒙恬さんは寂しがり。王賁さんは不機嫌な表情。私の姿が見えなくなるまで、王賁さんは見送ってくれた。
「やはり少し休まれた方が宜しいのでは？」
「そうですね…。松明の火も近くに見えて、」
「動くんじゃねェ！」
喉元に突きつけられた剣先。
グッと差し込まれ、痛みと共に首筋を伝う生温かい感覚。
「貴様！剣を下ろさぬか！」
「はっ、どこの国のヤロウかわかんねェのに、」
「信…。」
私の声に、被っていたマントが信の手によって外された。
「まさか……Aか…？」
「うん…心配かけてごめんね」
「…けんなよ…。」
「信？」
「ふざけんな！急にいなくなりやがって、俺がどれだけ心配したか…お前わかってんのか！！」
私の胸元を掴み怒鳴る信の目に光るもの。泣いてる…と、信の頬に伸ばす手を掴まれ、強く抱きしめられた。そっと信の背中に手を回す。
「頼むから勝手にいなくなるな…。お前が一人悩んでても、お前がいないんじゃ聞いてやることもできねェ。もっと俺を頼れよ、頼ってくれ…。」
「信ごめん…。」
「ごめんじゃねェ。そんなこと聞きたいわけじゃねェ。お前はただ、俺との約束に頷けばいいんだ。どこにも行かないって、勝手なことしないって。約束しろ」
信の言葉に今度は頷く。
約束だからなと、信はまた私を強く抱きしめた。
311.汗ばむ体に。 信side→←309.甘えてもいいよね。
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bluemoon(プロフ) - イルカさん» コメントありがとうございます。推しが同じ読者様に会えて嬉しいです。花嫁本編では王騎将軍の救済ルートを避けてしまったので、中編集で幸せになっていただきたいと思います。王騎将軍とのお話久しぶりに書く気がします。まずは花嫁8ですね。頑張ります！ (2020年12月27日 8時) (
レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
イルカ - 私は王騎将軍オシなのですっごく楽しみです！！シリーズ8も楽しみにしてます。 (2020年12月26日 23時) (レス) id: 4dcbd5d17d (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ノンさん» テストお疲れ様でした。アニメ楽しみですね！どんな声優さんが演じてくれるのか、情報を解禁されるのもワクワクしますね。私ももう少しでお仕事が長いお休みに入るので、更新頑張ります！作品に遊びに来ていただいてありがとうございます。 (2020年12月21日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
ノン - 執筆活動お疲れ様です！！無事にテストが終わりゆっくりできる時間が出来たので小説を読みに来ました！これからの展開が楽しみです！春にはキングダムのアニメ3期も再開されるので今からキングダム熱を上げています笑笑 (2020年12月21日 17時) (レス) id: a804f7d386 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Tomoyoさん» お久しぶりです。三連休ですか、いいですね。明日から私はまた仕事です…。時間を見つけてこれから更新頑張りたいと思います！コメントありがとうございます。 (2020年11月22日 21時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：bluemoon
| 作成日時：2020年6月20日 15時
