50.いつか、きっと 累side ページ5
.
騒々しい音に目が覚めた。隣にいる姉さんの温もりを感じようと手を伸ばし、その場所が冷たくなっている事に嫌な予感。
また一人置いていかれたんだろうか。追いかけたくても、日の光に当たれない僕はどうしようもなく、ここで姉さんの帰りを待つしかない。強い体を手に入れたはずなのに、その力が僕を苦しめる。僕から姉さんを遠ざける。
「一人にしないで…」
僕の側にいて、僕だけを見て
僕だけを愛してくれるなら、何も望まない。
『累、起きたの?』
「姉さん…どうしたのその格好…」
『しのぶさんから出かけてもいいって許可もらったんだ。どうせならお洒落もって、甘露寺さん、柱の人に着付けてもらった』
似合うと僕の前で一周回って見せる姉さんに、僕は「似合わない…」なんて嘘を吐いた。姉さんの落ち込む姿に胸がギュッと締め付けられて…忘れていた人としての感情を思い出す。好きな人を傷つけたら、自分も傷つく事を。
『そっか…似合わないか…』
違う、違うんだ。
本当はそんな事言いたくない。
似合うよ、と素直に伝えたい。
でも、姉さんは僕を置いて日の下を歩くんだろう。
楽しげに、横にはアイツらがいて
どうせ置いて行かれるなら、憎まれ口叩いて意地悪したって…
『夕刻になったら、累も一緒に歩こう』
「姉さん…」
『それまではここで時間を潰して、それから…』
立ち上がった僕は姉さんの体を抱きしめた。
甘えるように、撫でてと擦り寄る。
「姉さんが僕を置いて行くと思って…意地悪してごめん…」
『うん…わかってるから』
ほら、また胸がギュッとなる。
さっきと同じ痛みなのに、まるで別のよう。
人間は感情に左右されて気の毒な生き物だと思っていた。何も感じなければ、苦しむ事もないし、悩む事もない。欲求に忠実に、気に入らなければ力で服従させる。それが鬼となった自分の生き方だと疑問も抱かなかった。
「姉さん…ありがとう…」
『どうしたの急に?』
「僕を救ってくれて…側にいてくれて…」
鬼になった僕が人間に戻れるとは思っていない。
けど、人間らしい感情は取り戻したい。
僕のためじゃなく、大好きな姉さんのために。
122人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三月の専属ストーカーなつめみく - うあああああいいるいくん救済!!救済だあああ!!やったあああああ!ここのコメント欄の空気ぶち壊していくうううう!!てか面白すぎいいいい!もうね!設定が!神なんよ! (10月24日 9時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - ありがとう〜♪続き待ってるね♪(*⁰▿⁰*) (2022年1月2日 18時) (レス) id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - アオイさん» アオイさんは多才な才能をお持ちなんですね。絵も描かれ、ピアノまで弾けるなんて羨ましいです。累君のテーマ曲、今度聴いてみたいと思います。更新の準備致しますね。千寿郎君と煉獄さんのお話からになりそうです。その様子に累君ヤンデレ化しないといいですけど(笑) (2022年1月2日 0時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - まぁ、私の話は置いといt((無一「更新頑張ってね」 (2021年12月31日 23時) (レス) id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - 累君は、ヤンデレも似合うしツンデレでも似合うなぁ〜って思うと、私 顔が真っ赤っかになるですwww.自分で描いた累君を見ると『可愛い///付き合いたい///エンジェルですか⁉あなた⁉』ってよく言ってて 累のテーマの曲をピアノで弾くとギャン泣きにいつもなってる (2021年12月31日 23時) (レス) @page10 id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:bluemoon | 作成日時:2021年9月28日 20時