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(はー なんか眠いなぁ)
2週間ちょっと働いた疲れが来たのか、その日は朝から体が重かった。
咳や鼻水が出るわけでもなく 頭がボーッとする以外は何ともなかったから、特に誰に言うわけでもなく
いつも通り午前中の業務を終える。
広臣「よし、じゃー 販促いくか」
「あ、私行くよ」
広臣「一人で行ける？」
「任せて」
大型台風接近のニュースが流れたからだろうか、過去一くらいで暇な竜宮城。
直人さんと隆二が同じタイミングでお昼休憩に入って、店は健二郎さん広臣くん私の3人だけ。
それでも人手が余ってしまうようになったとき、広臣くんがカキ氷の割引券をレジから取り出してきた。
(歩いて眠気覚まそう)
そんな考えで販促役を買って出て、麦わら帽子を被って店の外へ。
遠目で見る海の波は、確かに台風が来る前なのか いつもより少し白波が目立ち、
やはり浜にいる人も少なかった。
「海の家竜宮城でーすっ カキ氷割引してま〜す」
大きな声を出した時、喉が異様に乾いてる事に気付いた。
次の瞬間 キーーンという耳鳴りと、
(あ〜、なんか、やばい……かも？)
十数メートル先が霞んだ視界。
その中に錆び付いたパラソルの下、見慣れたTシャツとパーカーの後ろ姿。
(なんか、楽しそうに笑ってるし……)
こちらの存在に気付いたTシャツが 私を見てニヤリと笑い、ペットボトルを持った手をこちらに軽く振ってから視線を戻した。
そして、未だ後ろ姿を見せるパーカーに向かって何かを言っている。
(倒れる……？)
読唇術を心得た覚えはない。
でも、フラリと揺れる意識の中で見えた光景。
誰にでも優しい彼がパラソルの柱に肘をつきながら、パーカーのあの子に向かって
“ すっげぇ、可愛いよ ”
そう、言っていたような気がする。
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2015年7月26日 21時
