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「これ、触っても、いい?」
「おお、ええよ。」
さほど大きくない写真でも、触れるとその厚みみたいなものが指に乗った。
ライトに照らされて踊る「平野紫耀」の体の熱や汗まで、伝わってきそうだった。
「………ライオン、みたいや。」
「え?」
「この、平野さん。なんか、光ってて、すごい、アットウテキや」
口から言葉がこぼれていたことに気づかないほど無意識に、喋っていた。
それくらい私はこの写真に夢中だった。
「よかったなあしょう。見てもらって。」
「…うん。」
子供みたいにあどけない相槌を、私はまっすぐに聞けなかった。
本人を前に、写真の中の彼に対して「光ってる」なんて考えてみたらおかしいことではないか。
写真の上に置いていた指を慌ててどかして、握りこぶしの中に隠した。
私は本当は、彼に触れたかった。
そう思っていることをどうにかして、隠さなければと必死だった。
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ふてぃか(プロフ) - 忙しいと思いますが更新待ってます ! (2019年8月16日 17時) (レス) id: 6381a07ad2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琉叶 | 作成日時:2019年3月24日 1時