薄桜鬼 涙は伸ばした手をすり抜けて〜貴方に触れたくて〜

第31話:ただいま ページ32

A)…本当にこれで良いよね。

薫)随分と凄い抜け方してきたんだね。

A)抜け方なんてどうでも良いじゃない。

薫)まぁね。

私は薫と家の前にいた。
山奥の、他に何もないような場所。

A)…久しぶりだ…

薫)そりゃあ暫く帰らなかったのは姉さんでしょ？

確かにそうなのだが。

A)ただいま…かな。

薫)おかえり、姉さん。

私は家の中に入っていった。
そして真っ先に向かったのは母さんの部屋…

A)…ただいま、母さん…

薫)…母さんも言ってるよ、おかえりって。

…母さんは布団の上から動かない…目を覚まさない。

A)…今日はねたくさん話したいことがあるの…

何処に行ってたのか、何をしたのか、誰に会ったのか…

A)全部全部教えてあげるからね…

薫)母さんも喜んでるよ…

薫がそう言う理由…
薫には微かにだけど聞こえてるんだ…
それが本当に母さんの声か分からないけど、私は信じてた。

A)その後はたくさん箏を奏でたいな…暫く弾いてないから、下手っぴになってるかも知れないね。…そしたら母さん、また教えてね？

私は語った。
家にいなかったときの出来事全て。


その時に、何故か心寂しかったのはきっと気のせいだよね…

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