薄桜鬼 涙は伸ばした手をすり抜けて〜貴方に触れたくて〜

第19話:静かに ページ20

風間)ふん。幕府の犬共めが。そんなに吠えている姿は愚かだな。

土方)さっきからうるせぇんだよ。

ずっとうるさいの間違いだと思うのだけれど。
どっちもどっちだ。

そして…

A)はぁ…元気な人たちだな。こんな夜にさ。あと、千鶴ちゃん。狙われてるさいちゅうに聞くのも何だけどさ、さっきからジッと見てるけど何？

千鶴)あっ…もっ、もしかして…Aさん…弾き…

A)それ以上は言わせないよ？…まぁでも当ってるね。よくわかったね。

千鶴ちゃんの言葉は最後まで言わせなかった。

千鶴)で、でも…

A)いやー、あそこの馬鹿は気づいてないみたいだね。さすが冷静で頭の良い鬼の子は凄いよ…本能ってやつがそう確信したのかな？

千鶴)……

未だに目の前で戦ってる人たち。
最早こちらのことは視界に入っていないようだ。

A)ふふっ。自分の家にいたようなそんな雰囲気がないって言いたいのかな？

千鶴)…私は自分の実の家のことなど覚えていません…

A)へぇ…そりゃあ雪村家の子だものねぇ…

千鶴)どうして知って！？

A)昔風間じぃ…あいつの祖父に聞いたこと思い出した。今思えば女鬼でその雪村の姓。あいつが狙うのは純血の鬼。全て当てはまるし。

色々と忘れてたけど。
あー、気づけないとか私、色々と鈍ってるなぁ…

A)まぁ、でもその千鶴ちゃんからその単語が出てきたのならきっと君の家にもいたはずだよ。

千鶴)……

A)ふふっ。でもきっとその人は……

千鶴)……あの場所で…

A)死んだんだろうね。

刀と銃の音が響くなか、私たちの場所だけは静かな風の音しか聞こえていなかった。

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