薄桜鬼 涙は伸ばした手をすり抜けて〜貴方に触れたくて〜

第10話:ムカつく ページ11

A)…今日は一段と晴れてる…

雲ひとつない晴天だった。
ちょうどいい温度が眠気を誘う。

A)…寝たくない…

眠いけど寝たくなかった。
此処へ来て何が起こるか分からないから。
睡眠は夜にとるもの。

千鶴)Aさん…大丈夫ですか？

A)ん…？大丈夫。君は普通にしときなよ。

千鶴)あっ、はい…

千鶴ちゃんは固い子だ。
なんといっても礼儀正しい。
私とは全然違う普通の女の子…

A)こんなところ、いつか絶対に出ていく…

千鶴)…Aさんはこの場所がそんなに嫌いですか…？

A)当たり前だよ…こんな場所、ただの人斬り集団の集まりだ…

千鶴)…皆さん最初は怖かったです……でも、過ごしていくうちに此処の温もりが分かってきました…

千鶴ちゃんは下を向いたままそう言った。
それは、この子がこの場所を大切にしていると言う証だった。

A)ふーん…私には分からない。別に分からなくてもいい。私にとってこの場所は危険で、我が儘な場所でしかない。

沖田)本当によくそんなことズバズバ言ってくれるよね。ムカつくくらいに…

沖田さんが急に入ってきた。

A)…誉め言葉としてなら受け取っときますね。

沖田)じゃあ、そういうことにしといて。

A)貴方も相変わらずその表情ムカつきますね…

沖田)それはどうも。

本当に気にくわないと思った。
めんどくさい場所…

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