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「Aちゃんはいい子だよ。
ご両親亡くされてずっと1人で…
行きたい大学も決まってて、入学も決まって、ここのバイトを辞める、なんて話も出てたんだけどねぇ…
あんな事故が起きるなんて、可哀想に…」
「事故の事を話されているんですね。」
上原がそう聞くと店長は首を横に振った。
「本人から聞いたこたねぇよ。
ただニュースでご両親の名前を知ってね、その後すぐ忌引でAちゃんが休んだんだ。
ここで働いてるやつはみんな知ってるよ…」
「そうか…すまねぇな。注文もせずにグダグダと。
聴取の真似事は終わりだ。
生で2つと、適当なドリンク、それとー…」
「なんだい聴取なんて大袈裟な、
警察じゃあるまいし。」
事情を聞いた店長が
「あんた!色白の!あんたAちゃんを狙ってる男じゃないのかい!!
は、なぁんだてっきりストーカーか何かだとばかり…」
と驚愕するまであと少し。
・・・
「Aちゃん!生2つとオススメのドリンク1つと適当におつまみお願い!」
店長からのオーダーをこなすために冷蔵庫を開けたり、棚を見たり細々と働く。
「ドリンク…甘いの好きかな」
おつまみは適当に1000円位になるように作るか。
「生2ドリ1、おつまみでまーす
お願いします!」
裏からちら、とホールを覗くとそこそこ賑わっている店内。
バイトの子が運んでいってくれたドリンク達は諸伏さん達の席に置かれた。
「あ、ドリンク諸伏さんのだったんだ…」
甘いの平気だったかな、お茶にすればよかった。
……え、なんで私こんなに気にしてんの?
バレてないか不安で変にあの人のことが気になっちゃうんだ。
もー…何考えてるんだ。私。
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作者名:ひねり揚げ | 作成日時:2023年3月14日 10時