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｢Aちゃん！5卓生2つ！3卓のバッティングもお願い！｣
｢すみませーん、これ同じのお願いします｣
｢あの、唐揚げさっき頼んだんですけど…｣
｢ご予約20名様テーブル席ご案内します！｣
｢3卓OKです！！！｣
｢いらっしゃいませー！！！｣
私の日常はいつもこんな感じ。
お客さんの声と店員の声が店に響き渡る。
人望のある店長と気さくな学生バイトさん達。
行き場のない私を快く受け入れてくれたみんなには本当に感謝しかない。
そんな日常が壊れる時がくるなんて思っても無かった。
｢なぁ、この前騒ぎになってた殺人あるだろ？あれ容疑者がでたらしいぜ。｣
｢あの組織ぐるみでの犯行がどうのこうのってやつ？半グレが騒いでるだけだろ？｣
｢いやそれがさぁ…｣
最近巷を賑わせている半グレ集団
金銭を目的とした若い男女グループで、殺人や麻薬の密売にも手を出している、らしい…
｢それでさ、その内の1人の顔が割れたんだよ！今ネットで拡散されてるんだけど…
あの店員、似てね？｣
賑わいを見せていた店内が一瞬静まり返る。
お客さんの視線がビシビシ伝わってくる。
確かに似てる、写真撮ろうぜ、
えー…やめときなよ。
え、がち？本人？なわけないでしょ。
他人の空似だって、
そんなヒソヒソ声から発展し、また店内は賑わいを取り戻した。
｢お待たせいたしました。｣
デーブルに商品を届けると、
｢おねーさん『ソシキの人』なの？かっけーww｣
｢おいやめとけって、すみませんこいつ酔ってて…｣
なんて、絡まれることも増えた。
｢大丈夫ですよ、確かに似てますよね｣
愛想笑いを浮かべながらお客さんの絡みを受け流す。
似た顔の店員がいるってネットで話題にでもなってるのか…
冷やかしと思われるお客さんも、スクープを狙う記者のような人も増えた。
本当に
…同じ顔がいるんだから、もう少し気をつけて欲しいよ。
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作者名：ひねり揚げ | 作成日時：2023年3月14日 10時
