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「弟子から目を離してしまったこと、それは謝るわ。でも、あの子だけの力じゃこんなに強大な魔法は使えないし、私達が与えた覚えもない」
そして、と言葉を続けるA。今まで笑みを浮かべていたその表情が、変わった。
「不遜な弟子、なんていう言葉、二度と使わないでいただきたい。私を侮辱するのは良い、けれど今を一生懸命生きているあの子達を侮辱するようであれば、許さない」
弧を描いていた瞳と口角が変わり、鋭い目つきと口調でイースヒースに言葉をぶつける。
そんなAの様子を見て、キーフリーも少々驚きながら魔法器を鞘に収めた。
「…随分と感情を露わにするようになったな、A。しかし、お前たちが与えずとも、つばあり帽が与えた可能性は?」
「それは無きにしも非ず、ね」
意外にもあっさりと答えたAにイースヒースは口をつぐむ。
周りの魔警団員も顔を見合わせていた。
「…さぁ、そろそろ私達も行きましょうか、キーフリー。私達魔法使いはこういう時にこそ、力を使わないとね」
「うん、そうだね。人々に魔法の恩恵を、それが僕達の務めだ」
下を見れば、オルーギオに始まりリチェやテティア、そしてつい先程までイースヒースに捕らわれていたココとアガットも人々の介抱をしている。
弟子達の元へ向かうキーフリーの背中を眺めた後、Aは視線をイースヒースに向け直した。
それに気付いた彼も同じようにAを見る。
羽根のついた特徴あるとんがり帽子。
そこから覗く鋭い目付きは数年前から変わらない。
彼らは真面目だ。真面目が故にきついこともある。
「イースヒース。あなたたちも行くのよ」
「おーい、便利な旗持ってんだろー。活用しろ活用。」
「オルーギオもああ言ってることだし。ね?」
「……本当に彼女らを導く指導者の道へと進んだんだな。あの男の元で。」
「なぁに?まだ誘いを断ったことを根に持ってるの?私の人生、何をするかは私が決めることよ。」
「あぁ。……それはその通りだな」
どこか含みのあるような言い方に、Aは小さくため息をはいた。
「キーフリーの何が苦手なのか知らないけど、私たちはなんの隠し事もなく一生懸命正しい魔法について教えてるだけよ。それは信じてほしい」
地面へと足をつけたAは、すぐにココたちと一緒になって介抱を始める。
イースヒース率いる魔警団も旗を用いて馬車馬を移動させたりと動いてくれた。
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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