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「私のは…触れた物とか場所に風を起こして、その場で停止させることができる短剣だよ」
「Aの魔法器は凄いんだよ。あれだけ静かで落ち着いた風を継続的に保たせるには、かなり高度な魔法陣が描けないとできないからね」
キーフリーが思わぬところで賞賛してくれ、私は思わず笑みを浮かべる。
触って良いかと聞く弟子達に、危ないからまだダメだよと伝えながら鞘に収めた。
「俺は念の為上流の様子を見てくる」
「じゃあ僕は下流の被害を確かめてこようかな」
オルーギオはリチェを連れ、キーフリーはテティアと共に川の被害を見に行った。
「私たちは怪我をしている人たちの手当てを続けよっか」
「はい」
一人一人丁寧に怪我の手当てをしていく。
数分過ぎた時、私はふと先程の石の存在が気にかかった。
「…ココ、アガット。ほんの少しこの場を離れても大丈夫?」
「?どこに行くんですか?」
「さっき大きな岩を動かしたんだけど、もし上流の川の流れの道を作っていた石だとしたら元の場所に戻すのが良いかと思って…」
「魔法使いたるもの、最後まで責任を持たなければいけないですもんね」
アガットは大きく頷いて、ここは大丈夫です。先生は行ってきてください。と言ってくれた。
ココは少し気まずそうな顔をしているが、頑張りますと小さく私に返事をした。
「ありがとう。すぐに戻るからね」
二人の頭をぽんと撫でて飛靴で宙に浮く。
オルーギオたちはおそらくもっと上流を見に行ってくれてるはずだ。
私はさほど離れていない先程の岩のところで身体を下ろした。
「川の流れは変わってないか…でも」
三つの岩、それぞれに水で削られた跡がある。
長年同じ場所にあった岩ということだ。
いくら流れてきたと言えど、動かしたとなれば何かしらの変化が起こるだろう。
「やっぱり元の場所に戻すのが妥当かな」
風魔法で岩を浮かせ、上流に向けて移動させる。
だが次の問題がある。岩があった場所が中々見つけられないということだ。
水をはじく魔法で目星をつけながら川底を見ていく。少し上がったところに三つの大きな窪みを見つけた時だった。
私の背後で大きな光が上がり、あたり一帯の空を照らした。
「…光の鳥」
位置的にココたちがいるところだ。
出来るとしたらアガットの魔法、そして光の鳥はクルクルとその場を旋回し始めた。
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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