【とんがり帽子のアトリエ】風は水に恋をする２

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飛靴でキーフリーの上空を通過し、こちらに迫ってくる岩へと近づいていく。



大きな岩が一つ、中くらいの岩が二つか…
素早く岩に刃先を当てることができなければ、キーフリーたちが危ないな。



魔法器である短剣を腰から引き抜き、私は一番近く流れてきていた中くらいの岩に刃先を滑らせた。
その直後、岩はゆっくりと空中に上がっていき、その場で停止する。



続けて二つ目の中くらいの岩にも同じように施した。



流れの早い川、竜のような動きで私自身も持って行かれないように気をつけながら飛ぶのが少々きつい部分がある。



「大きい岩は…」



「キーフリー先生！！」



途中で川の流れが変わっていたのだろう。キーフリーには当たらない順路で流れていたはずの岩が、キーフリーめがけて流れ始めていた。



だが、キーフリーにはまだ岩の存在が見えていない。
背後には三人目を抱えたオルーギオ、救助は終わりだ。



「後ろから岩に近づけるのは、こっちにとって有利なのよ」



向きを変え、風魔法を纏わせて岩へと飛ぶ。
川の流れと同じように飛んでいるAは手元で刃先の向きを下にし、そのまま岩の上部にぐるりと刃先を滑らせていった。



「こいつで最後だ！」



「分かった！」



キーフリーも剣を横にし、裂いていた水を横に飛ばす。
視界が開けたキーフリーの目に入ったのは、自分の目の前にいるAの後ろ姿と静かに空中に浮かぶ巨大な岩だった。



「良かった…間に合った」



間一髪。誰にも内緒だけど少しヒヤッとしちゃった。



「すごい…これがAの魔法器なんだね」



水裂の魔法剣を片手に一仕事終えたキーフリーが私の隣に浮く。
前方に浮く中くらいの岩二つと目の前に浮く巨大な岩を見て、感心しているみたいだ。



「刃先で少しでも触れると風を纏わせることができてね、それからは剣の向きで操れるんだ」



周りに誰もいないことを確認して、少し拓けた場所へ三つの岩を移動させる。もう一度岩に刃先で触れると魔法解除だ。



「正確に言うと、その場に物を停止させることができる感じだね」



ココ達の元へ戻りながら説明をしていると、目を輝かせた四人がやってきた。



「先生たちのそれ、凄い！どうなってるの！？」



「刃の表面に刻まれた模様が全て魔法陣でね、小さな陣でもこれだけこれだけ集めたら、海だって裂き開くことができるんだよ」

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