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「A先生…」
先に現場へ来ていたアガットとも合流する。その手にはあわせ指輪が握られていた。
「アガット、皆さんの水分を飛ばしてくれてたんだね。アガットがしてくれなきゃ怪我の手当てがしにくかったよ。ありがとう」
笑顔でお礼を言うと、少しふてくされていたようなアガットの表情が和らいだ気がした。
アガットは真面目だ。でも真面目が故に早く早くと焦っているような印象がある。
今はどういう状況か判断し、どんな魔法が必要なのか。そして、それぞれの魔法が連携してこの場を救うということをしっかり伝えなければ。
「アガット、多分あと数人来ると思うから、あわせ指輪の準備しておいてね。そしたら私が手当てで引き継ぐから」
「分かりました」
程なくして一人目が運ばれてきた。馬車の中に取り残されている人達だと聞いたから、あと二人か三人くらいだろうか。
手当てに専念していたAの耳にSOSが聞こえたのは、オルーギオが二人目を抱えて崖を上がってきた時だった。
「A!上流から大きな岩が流れてきている!このままじゃキーフリーに当たる!」
そう言われて立ち上がって見れば、確かに上流から大きな岩が複数流れてきていた。
川の流れも相まって、岩はとても早いスピードでこちらに向かってきている。
「どうだ、行けるか」
ココ達に二人目を預けてきたオルーギオが私の隣にやってきた。
少し眉をひそめていたオルーギオの表情はAを見て、いつもの表情へ戻る。
「勿論、任せて」
「よし、着いてきてくれ。こっちからの方が岩に近い」
オルーギオに着いていくと、馬車の前に立ち、踏ん張りながら魔法器で水を裂いているキーフリーの姿があった。
一刻を争う状況とは言え、これには目を奪われる。
魔法そのものとしてもとてもかっこいい、それに水があんなに嫌いだったキーフリーが水裂の魔法剣を上手く扱っている姿にも感動してしまった。
「A?大丈夫か?」
「あ…ごめん。つい目を奪われてた…他の魔法器を見るのが初めてでね」
「A!?なんでここに!」
なるほど、裂いている水のせいで前が見えていないのか。だから岩が流れてきていることも気付いていないんだな。
「オルーギオから呼ばれてね。上流から岩が流れてきてるみたい、だから私の出番ってわけ」
「俺は三人目を救出する。任せたぞ」
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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