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キーフリーのその言葉に、オルーギオは目を見開いてぐっと口を噛んだ。
私がこの状況を受け入れている理由には、キーフリーの時々見せる少し怖いくらいの表情がある。
今もこの発言をした真の理由を私は知らない。オルーギオは知っているのだろうか。
「…キーフリーはアトリエの先生。私よりも前からね。だから、何か考えがあるんだろうと思って、私はキーフリーの行いに従ってる。勿論、何かあれば私だって忠告はするよ」
ここ最近一人で何か考え込んでいるようだったキーフリーに、改めて私の言葉を伝える。
真剣な表情のAを見て、キーフリーは少しの間の後いつもの笑顔で頷いた。
「ったく…まぁ、いい。今のところは黙っておいてやる。Aもお前の側にいることだし、少しは安心できるからな。だが、何か事件が起きたらすぐ大講堂に報告するぞ。それが見張りの眼の役割だ」
私とキーフリーを交互に見ながら、オルーギオは自室への道を歩いて行く。
最後にじっとオルーギオが私の目を見てきたのは、しっかりキーフリーを支えてやってくれというサインだろうな。
それに対して私も深くまばたきをしてサインを送った。
・ ・ ・
「は〜!やっと着いた〜!」
「テティア髪の毛…」
「あ〜!そうだった!誰か結んで結んで!」
「テティアの髪の毛、ふわふわで素敵だね」
「A先生に褒められると照れるなぁ」
テティアとリチェ、そしてココと共に無事にいつものアトリエへ戻った私は、普段通り楽しそうな会話を繰り広げる三人へ声を掛けながら籠やタオルを定位置へ片付けていく。
キーフリーは魔法道具の確認と共に一息つきに台所へ行ったみたいだ。
一度は止んだ雨は更に強い勢いで再び降り始め、部屋の中には屋根を打つ雨の音が激しく響いている。
「ここまで強い雨は久し振りだなぁ…」
「A先生!扉、誰か叩いてるよ!」
雨の音で扉を叩く音に気付かなかった私は、テティアから教えてもらって急いで扉を開けにいく。
そこには、激しい雨の中カッパを着た男性が馬を引き連れて立っていた。
「た、助けて下さい、魔法使い…!」
「何があったのですか?」
男性は早口ながら、危機迫る出来事を教えてくれた。その表情は切羽詰まっており、一刻を争う事態だということを見てとれた。
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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