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「ココを連れていくのは許さない。たとえ親友の君でもね」
「…俺に魔法を向けるほどかよ」
オルーギオの足が止まったのを見て魔法を解くキーフリー。
しかしその安心した顔は、水が姿を消すと焦りのあるものへと変わった。
「あのー…キーフリー…?」
「A!?」
「あちゃ〜…ずぶ濡れじゃねえか」
「元はといえばオルーギオが何回声掛けても止まらないからだよ!?」
「ご、ごめんねA。すぐ中に入って乾かそう。風邪をひくと大変だ」
あわあわと焦るキーフリーに背中をおされ、水魔法をかぶってずぶ濡れになった私は足早にアトリエへ入った。
「ココは濡れてない?」
「私は大丈夫です!」
「A、乾かすぞ」
オルーギオのあわせ指輪で乾かしてもらっている最中に、キーフリーはココについての説明を始めた。同時に魔警団のこともココに説明する。
「例外的に知らざる者を弟子にしたっていうのか」
「彼女の名前はココだよ、オルーギオ」
「悪いなココ。魔法使いじゃない人間を呼ぶ名前が他にないんだ」
Aの水分を飛ばしたオルーギオは大きなため息をつきながらAの隣に腰を下ろした。
「ココ、彼はオルーギオ。郊外の小さなアトリエには何かあった時に隠匿されないように、別の大人の魔法使い、見張りの眼が必要でね、オルーギオはここの見張りの眼なの。私の同級生でもあるのよ」
「今まさに厄介な問題を隠匿してる状況なんだがな」
しばらく頭を抱えた後、オルーギオはココに温かい飲み物を渡しているAを見て言った。
「…珍しいな、真面目なAがこの現状を受け入れてるっていうのが」
「ん〜…そう言われると何も言えないなぁ」
困ったような笑みを浮かべるA。
確かに以前の私だったら、禁止魔法に触れている知らざる者を匿い、ましてや弟子として記憶を残しておくなんてことはしなかっただろう。
今まで悪事をせず、ただただ真面目にいたからこその絶大な信頼が私の後ろ盾にあるのだ。
でもココは…
「ココとは私の学生時代から少し面識があってね。魔法への憧れの発端は私のようなものよ。それにココは頑張り屋さんでお母さん想いなの。この優しい素敵な気持ちが魔警団から消されてしまうのは、少し悲しい」
「秘密を見られてしまったのは僕の罪だ。ココの記憶を消すのなら、僕の記憶も消すべきだろう」
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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