75... ページ26
雨はほどなくして止み、辺りには雲の隙間から差し込む光で幻想的な景色が広がっていた。
「私、やっぱりアガットを呼んできます!」
足下の雨音を楽しみながらアトリエのドアノブを回そうとしたココ。
しかしそれは、ココが回すよりも早くにくるりと動いた。
「…誰だ、お前。見ない顔だな」
「えっ…あの…」
「何の用だ。誰かの遣いか?アライラか?」
「わ、私…」
「オルーギオ?」
焦るココの耳に聞こえたのは、聞き慣れた優しい女性の声。
ココにとっては見慣れない男性の後ろから、大好きな人が姿を現した。
「何してるの?お客さん?」
「先生!!」
「わっ…ココ?」
ぎゅっと勢いよく抱きついてきたココを受け止めながらオルーギオを見れば、理解しがたいというような分かりやすい表情をしている。
「私は!A先生の弟子です!」
「は?弟子、だあ〜〜〜?」
「正確にはキーフリーと私の弟子だよ。でもどうしてここに…」
ココと目線を合わせるためにしゃがみ、事情を聞こうとすると、お〜いと遠くから聞き慣れた声が近づいてきた。
「キーフリー!」
「あれっ!?A!オルーギオのところに居たんだね。部屋に姿が見当たらなかったから、どこかへ出かけたのかと…」
「ごめんなさい、本当はすぐ戻る予定だったんだけど雨が降ってきたから様子を見てたの」
「キーフリー…これはどういうこった…?」
「や、やぁオルーギオ。仕事終わったんだね、もう少しかかるかと…」
「なんで知らない間に弟子が増えてんだ」
「私から先に説明しておけば良かったね」
「いいや、一番の責任者はキーフリーだからな。こいつの口から聞く」
「ごめんA、気を遣わせたね。オルーギオの言う通り、僕から話すよ。これには事情があるんだ。彼女は禁止魔法の被害者で…」
禁止魔法。この単語が出た瞬間、オルーギオの表情が変わった。
「来い」
低い声と共に、ココの細腕をオルーギオが掴み、ずんずん前に歩いていく。
「ちょ、ちょっとオルーギオ…!」
ココが私のそばから離れないため、オルーギオに私まで引っ張られるような形で前に進まざるを得ないこの状況。
私が声をかけても止まる気配は全くない。
「この子は魔警団に引き渡す」
「!ちょっと待ってったら…!」
私がオルーギオを止めようと前に進み出たのと、キーフリーの水魔法で目の前に壁が出来たのは同時だった。
54人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ