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「これは…?」
タータをはじめとする三人は目をパチクリさせながら浮遊しているものを見る。
「ココの気配…正確にいうと、私の魔法がかけられた花弁を持ってるココの足跡って感じ」
「!じゃあこれを追えばココたちのところに?」
「そうだと信じたい。念のため、もう一つ確認するね」
次に私は、近くに落ちている葉に向かって手帳の陣をかざした。
ボソボソと徐々に聞き取れる言葉が風に乗って耳に届く。
「Aさん?」
「折角だから皆にも聞こえるようにするね」
葉から流れ出る風をタータたちの付近へと流していく。最初は首を傾げていた三人だったが、暫くするとその顔は驚きと興奮が満ちたものへと変わった。
「何これ…声!?一体どこから…」
「これだよ、タータくん」
「それは先ほど、そこに落ちていた葉じゃろ?」
「私が習得した新たな魔法がこの二つ。これは植物たちの生命力を元に、人が聞き取れる言葉を風に乗って知らせてくれる魔法よ」
「すごい…そんなことが出来るんだ…」
「もう一つは、魔法をかけた植物の一部を持っている相手の気配を辿れる魔法。それが今目の前に浮いてるキラキラしたものね。気配といっても、私の魔法が少しずつ外に流れ出てるだけなんだけど」
「じゃあココはAが魔法をかけた植物を持っているということかい?」
「ココは色んなものに目移りしちゃうから迷子防止として一応渡しておいたの。役に立ってくれてよかった」
キラキラしたものはココから流れ出る私の魔法に、更に魔法をかけることで目視できるようになる。
時間が経てばそれは消えてしまう。だから持続力のある月蒼花の粉を混ぜた魔墨が必要なのだ。
「本当に君は凄いね…いつも頭が上がらないよ」
「ありがとうキーフリー。大切な貴方との弟子を守るためだもの」
「いやぁ、これほどまでに考えられた魔法は使えるようになるまで時間がかかったじゃろう。流石は上級魔法使いのAだ」
思わぬ絶賛ぶりに少しずつ顔に熱が集中しているのが分かった。
それをごまかすように、葉の声に耳を傾ける。
「ココたちが走って行った方向は、この気配の方向で合ってるみたい。二重確認もしたし、場所は特定できた。急ごう」
「分かった。これを追っていけばいいんだね?」
そろそろ日が暮れる。キーフリーを先頭に私もその後を追おうと足を一歩前に出した。
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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