愛してほしいと叫んだのは、

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私は宮城の家に帰り、身なりを整えてモバイルパークに向かう。


大谷くんに指定されたのはモバイルパークから少し離れた公園。



午前中に夜だから早く来ないでね、なるべく明るいところにいてって連絡が来て大谷くんらしいと思った。




19時少し前に公園に着いて街灯の少し後ろで待つ。

だけど19時になっても大谷くんは現れなかった。


いつも時間の前に待っていてくれる大谷くんが時間を過ぎても来ないなんて会議か何かが長引いてるのかも知れない…



もう少しだけ待とう、大丈夫、大丈夫…






自分に言い聞かせて待つけど30分を過ぎても大谷くんは現れなかった。




いつもの私ならきっと待っていた。

だけど、今の私は待つことが不安で仕方なくて、そのうち恐怖までもが膨らんでくる。

おもむろにスマホを出して、

[ごめん、急用が出来たからまたにしよう]



気付けば大谷くんにそう送っていた。







弱い自分に腹が立って、我慢出来ずにお姉ちゃんに泣きながら電話をかける。


「もしもしA？」

「おねぇ、ちゃんっ」

「ちゃんと話できた？」

「…だめ、怖くて怖くて勇気がなくてっ、一方的に用事が出来たってラインして逃げて、きたっ、大谷くんがそんな人じゃないって分かってるのに怖いのっどうしたらい「帰っておいで」

「お姉ちゃんっ…」

「家に帰っておいで、A」

「っうん」








それから実家に帰って大谷くんに話をしようとしたことを話してお姉ちゃんも一緒になってお父さんを説得してくれた。



そして、




子供は岩手で産む事、子供が一歳になったら岩手を出る事、大学は中退し、理由は結婚して岩手を出る程にする事、大谷くんの子供だと絶対に口外しない事、何かあればすぐに実家に戻る事。






これは家族での約束事。








私は友香里と麗花にだけ結婚する、大学中退して岩手を出るから今までありがとうと連絡してスマホを解約した。
五十嵐くんにはちゃんとごめんなさいと返事をして、絵見にも結婚するからと伝えたけど、二人とも私が大学を辞めることに納得いっていない様子だった。







そしてセミの声がうるさく感じる暑い八月に、私は無事に元気な男の子を出産して一年後岩手を出た。

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