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家の近くに停めてもらい、大谷くんのカードで支払いをする。
本当に使って良かったんだろうか…
不安になりながらもありがとうございましたと言ってタクシーを降りる。
家に着いて軽く掃除をし、自分のいつもの定位置に座って大谷くんを待つ。
うーん、落ち着かない…
そもそもなんで大谷くんは私の家なんて来たかったのか。
てか大谷くん大きいからワンルームって狭くない?
そんなことを思ってるとインターホンが鳴って、玄関まで小走りで向かう。
スコープを覗き、大谷くんの姿を確認して玄関を開ける。
「大谷くん、いらっしゃい」
「お邪魔しまーす」
玄関の上の枠に頭がぶつからないように少しかがんで入る大谷くん。
え、あんなとこぶつかりそうになる人初めて見た…驚きつつ部屋の中に案内する。
座椅子使う?って聞いたけど小さいから無理って即答された。
まぁ、そうだよね。
とりあえず背当てクッションを渡して座ってもらう。
「部屋綺麗じゃん」
「綺麗と思ってもらえて良かった…。あ、大谷くんカードありがとう。本当に使っちゃったけど大丈夫?」
渡してもらったカードを返しながら大谷くんに聞く。
「全然いいよ、稼いでるし」
「大谷選手、さすがです…」
「どんどん稼ぐから任せろ」
「ふふっ」
「ふはっ」
「「あははっ」」
お互い顔を見合わせて笑い合う。
まるで高校生に戻ったようなあったかくて優しい時間。
大谷くんは私の初恋だった。
彼は今も昔も変わらない。
誰よりも野球が大好きでストイックなのに同じモノを決して他人に求めたりはしない。
人に平等で良いと思った事はすぐ口に出して言ってくれる。そして、イタズラが好きでよく皆を揶揄って周りを笑顔にしてしまう人。
そんな彼が私は好きだった。
きっと私は五十嵐くんと付き合って、順調に行けば結婚、なんて事にもなって…
そしたらもう大谷くんとも会う事はきっとなくなってしまう。
だから言っておきたい。
今日が終わってしまう前に。
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nanami(プロフ) - れいさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけてとても嬉しいです( ; ; )!更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2023年4月13日 23時) (レス) id: e69a6fea83 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます♡♡続きがとっても気になります(><)!!これからも更新頑張ってください☆ (2023年4月13日 23時) (レス) @page50 id: 05a7f2dc28 (このIDを非表示/違反報告)
nanami(プロフ) - 麻美さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけているようでとても嬉しいです!(^^) 更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2023年4月13日 22時) (レス) id: e69a6fea83 (このIDを非表示/違反報告)
麻美(プロフ) - 続きが気になります!更新楽しみしてます!更新頑張って下さい(^^) (2023年4月13日 18時) (レス) @page49 id: 48ac5be23b (このIDを非表示/違反報告)
nanami(プロフ) - ゴリラさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけているようでとても嬉しいです!(^^) お気遣いありがとうございます(;o;)!更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2023年4月13日 9時) (レス) id: 0b13e51f49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanami | 作成日時:2023年3月24日 7時