愛してほしいと叫んだのは、

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事件が起きたのは11月だった。





あとは卒論を書くだけと思っていた矢先、絵見は用事があって先に帰ってしまい、五十嵐くんと二人で帰ることに。


並んで話をしていたのに急に隣から五十嵐くんが消えて、探すように振り返ると彼は立ち止まっていた。



「五十嵐くん…？」





「あのさ」

「うん？」

「好きなんだよね、Aのこと」

「え…」





告白された。五十嵐くんに…。


なんで、私なんか…




「出世したら海外にもついてきてほしいと思ってる」

「っ、」





海外にもついてきてほしい、もうそんなとこまで考えてくれてるなんて彼は未来まで見据えて私を好きと言ってくれている。













「卒業までに返事くれたら嬉しい」

びっくりしすぎて固まっている私に五十嵐くんはふんわりと笑って卒業まで返事を待ってくれると言ってくれた。





「わ、分かった。気持ちは凄く嬉しい…。すぐに答えられなくてごめんなさい…」

「いいよ、そういうとこ、Aらしいよね」






二人でまた歩き出した。
ちょっと気まずい雰囲気を出しながら…。







急な展開すぎてついていけないけど、私もいい歳で彼氏の一人や二人いた方が…とも思う。

五十嵐くんは真面目で、頭が良くて、優しくて、私には勿体無いくらいの人。
付き合ったら幸せになれるんだろうな…。

そう思うのに頭の中で現れる大谷くんの姿。




絶対叶うことなんてないのに好きでいる、友達のままでいるなんてもう、辞めなければいけない。


















そう、現実を見なければいけない時が来てしまったのだ。

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