おとなりさんちのあのひとは【M/S/S/P】【完結】

よにん.E ページ11

「…で？お前もそのゲーム買ったのかよ」
「そ」

コントローラーに伝わる振動と共に、画面のキャラクターが苦しげに呻く。やばい、と思ったもののなんとか回避し逃げ切る。とりあえず一番難しい難易度は避けたのだが、その選択は正しかったらしい。

「それ面白いの？」
「まあまあ。2週目の方がアクション増えるから面白いらしいけど」

隣に座って画面を覗き込むのは、明るい髪色の男、もといきっくんだった。興味深そうに画面を見るが、きっくんが得意とするゲームと少し違うからかすぐに画面から目を離す。

「それも隣の人から聞いたわけ？」
「ん」
「ほーん」

さっきまで、俺は隣に住む彼女のことを話していた。彼女の名と、彼女の性別のことを隠して。

「でもさぁ、今時隣の人と仲良くとか奇跡ちゃうの？」
「なんで関西弁なんだよ」
「うわぁえおえおさんが話そらした〜あやしい〜ねーきっくぅん」
「ほんと〜あーやーしーいー！」
「うるせえ」

なぜか関西弁だった男、もといFBはうざ絡みをしつつ俺たちの横に飲み物とお菓子を置いた。4人分の買い出しを任せていたのは確かだが、1人足りない。

「あろまは？」
「電話きたから玄関で喋ってる、もうちょいで来るでしょ」

近くのテーブルに置いてある空のグラスの近くに2Lのペットボトルを数本置き直し、FBは画面を覗き込む。

「あれ、これ持ってたっけ！？」
「だからこれがこの前買ったやつだってー、隣の人に勧められたらしーよ」
「そうなん？」

FBが疑問符を浮かべると、さっき俺から聞いた話をそのままきっくんが言ってくれる。説明の手間が省けた俺は、一旦ゲーム画面をポーズにしてジュースに手を伸ばした。

が。

「えおえお…なんか隣の人来てんぞ」
「え」

あろまが真顔で玄関を指差しているのを見て、この後の展開がめんどくさくなるのを悟った。

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