Speechless / かわい ページ9
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店の中に入ると、俺の顔を見た店員さんがすべてを察知してくれて、一番奥の個室へと案内された。
「河井さんがきてくれると場が盛り上がるんで」
そんな言葉で持ち上げられて、参加を承諾した後輩主催のコンパ。
決め手は、その夜がたまたま空いていたのと、後輩の顔を立てるのと。
自分のためじゃない理由ばかりだったけれど、ときにはそういう夜があっても、まあ、悪くはない。
「失礼します。お連れ様がいらっしゃいました」
迷路のような長い廊下を進んで、辿り着いた部屋の前。
店員さんがドアをノックして声をかけると、少しして中からドアが開いて、俺をこの場に招いた後輩が顔を見せた。
「お疲れさまです」
「遅なってごめんなぁ」
「いえいえ！みんな待ってますよぉ」
遅くなったのは長引いた仕事のせいではなく、本当は少し、気後れしていたから。
今夜のイベントは "飲み会" じゃなくて "コンパ" だ。
そこには当然女の子が数人待ち構えているのだけど、聞けばモデルやタレントの卵ばかりだという。
俺が最も気を遣い、苦手とする分野だったりするから、本心ではどうにも気が進まなかったのだ。
「あ、河井さんだぁー」
「すごーい、本物！」
部屋に入った俺を見て、一斉に声が上がる。
男のほうは知っている後輩ばかりだったけれど、女の子達はみんな初めましてだった。
「あ、どうもぉ」
「わぁ、本当に河井さんだー」
「めちゃくちゃイケメン！」
「いやいやそんな」
あくまで愛想良く、適当に応えて、ふと気づいた。
キャッキャと沸き立つ女の子達の中で、ひとりだけ、俺に背中を向けたままの子がいる。
周りの声など関係ないといった様子で、壁に向かって座ったまま動かないから、逆に目についてしまった。
「河井さん、こっちに座ってください」
「あぁ、うん」
後輩に促されて奥のソファー席に向かおうとしたとき、ワンテンポ遅れてその子が立ちあがり、ゆっくりと振り向いた。
その顔を見た瞬間、
(...あ、)
俺だけにまっすぐに向けられた瞳に、瞬きと共に揺れる長いまつ毛に。
吸い込まれるように、すぐに恋に落ちた。
「わぁ、本当だ」
俺を見てニコッと微笑みかけるその子に、目を奪われてしまった。
後輩にもう一度声をかけられて、ようやくその場から動くことができたときには、もうその子のことで俺の頭はいっぱいになっていた。
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えむ(プロフ) - HanNAさん» こちらこそいつもありがとう☆また来年もよろしくです！！ (2021年12月31日 8時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
HanNA(プロフ) - えむちゃん、いつも素敵なお話ありがとうございます！よいお年をお迎えくださいー (2021年12月29日 1時) (レス) @page26 id: ea9d2e9102 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - みかみかさん» コメントありがとうございます☆あー、良かったですー。喜んでいただけて、ほっとしました^_^ いろいろ想像しながら書くのが楽しかったです☆こちらこそ良い機会をありがとうございました。是非またどうぞです☆ (2021年11月6日 20時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
みかみか - 早速読ませていただきました！！もう最高でした！キュンどころじゃないですズッキュン心ぶち抜かれました（笑）えむさんの言葉選びほんとに好きです！素敵なお話ありがとうございました(T▽T) (2021年11月6日 6時) (レス) id: b0f25e0f76 (このIDを非表示/違反報告)
みかみか - えむさん» はい！もちろんゆっくりで大丈夫です！読んだ後感想も書かせて頂きます！素敵な作品お待ちしてます！ (2021年11月1日 23時) (レス) id: b0f25e0f76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年9月19日 22時
