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「えっと、横になりますか？」
「いっしょに？」
「なんで」
「いやなん？」
うぅ。ずるい。
そんな目で見つめないで。
拗ねたように言うその顔は、聞き分けのない小さな男の子みたい。
歳上なのに、すごく尊敬する人なのに、かわいくてたまらなくなる。
「嫌とか、そういう問題じゃないです」
「じゃあどういう問題？」
「どうもこうもないです」
私ももっと飲んでしまえばよかったのかな。
川西さんのおうちでふたりきりだと思うと、緊張で全然飲めなくて。
それに引き換え川西さんは、私のことなどなんにもお構いなしで。
テーブルに並べた缶やら瓶やら、好き放題に手をつけるのは、きっといつものことなのだろう。
「そんないやなら、なんで俺なんかと飲んでくれるん？」
まっすぐに見つめられたまま、手が腰に回ってきて、引き寄せられた。
思いのほか力強くて、ちょっと焦る。
「なんでって...」
「すきなん？きらいなん？」
「...そんなの、」
好きに決まってる。
簡単には言えない言葉は、急なキスで掻き消されてしまった。
何かの調査でもしているみたいに、口の中をじっくりと動き回られて、強いアルコールの味が私に移る。
急すぎて、ようやく離されたときには、軽く息が切れていた。
「ごちそうさま」
「私、食べられちゃったんですか？」
「うん。うまかった」
酔ってこんなことする人だったなんて。
心臓の音が痛いくらいに高鳴って、張り裂けてしまいそう。
せっかく決めてきた覚悟も、方向性が違うんじゃあ意味がないし、なす術もない。
本音を言えば、たとえ酔った勢いだったとしても、この人になら何をされたって嬉しい。
でも「このままどうなってもかまわない」なんて、そんなこと、恥ずかしくて言えるわけがない。
負けないくらいにもっと酔っていたら、きっと素直に言えたのに。
「きらいやったらごめんな」
「...ていうか私、嫌なんてひとことも言ってない」
慣れているのか、それとも大人の余裕なのか。
泣き出しそうな私を見て、川西さんはふふっと微笑んだ。
「俺も」
「え？」
「酔うてるなんてひとことも言うてないで」
あ、騙された。
そう気づいたときには、時すでに遅し。
両方の目を閉じて、重なってくる体を全身で受け止めていた。
fin
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えむ(プロフ) - HanNAさん» こちらこそいつもありがとう☆また来年もよろしくです！！ (2021年12月31日 8時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
HanNA(プロフ) - えむちゃん、いつも素敵なお話ありがとうございます！よいお年をお迎えくださいー (2021年12月29日 1時) (レス) @page26 id: ea9d2e9102 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - みかみかさん» コメントありがとうございます☆あー、良かったですー。喜んでいただけて、ほっとしました^_^ いろいろ想像しながら書くのが楽しかったです☆こちらこそ良い機会をありがとうございました。是非またどうぞです☆ (2021年11月6日 20時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
みかみか - 早速読ませていただきました！！もう最高でした！キュンどころじゃないですズッキュン心ぶち抜かれました（笑）えむさんの言葉選びほんとに好きです！素敵なお話ありがとうございました(T▽T) (2021年11月6日 6時) (レス) id: b0f25e0f76 (このIDを非表示/違反報告)
みかみか - えむさん» はい！もちろんゆっくりで大丈夫です！読んだ後感想も書かせて頂きます！素敵な作品お待ちしてます！ (2021年11月1日 23時) (レス) id: b0f25e0f76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年9月19日 22時
