M a g i c T o u c h / かわにし ページ27
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もうイヤなの。こんな思いをするのは。
もうやめにしたいの。あなたとの何もかも。
もう耐えられないの。
解けない問題を何度も解こうとして、解けなくて、自分にもあなたにも絶望するのは、もう...。
別れたい、と私が言った。
賢ちゃんは顔色ひとつ変えずに、石のように黙って聞いていた。
「...急で申し訳ないんだけど...」
「.....」
「でもずっと前から考えてたことだから...」
「.....」
何度来ても殺風景な、賢ちゃんの部屋。
テーブルを挟んで向かい合うふたりの間には、地獄のような静寂が流れていた。
どちらかというと大人しい者同士の、私たち。
この部屋で賑やかに過ごすことは殆どなかったけれど、今夜は過去最大の緊張感に包まれている。
目の前の賢ちゃんは、私がやっとの思いで切り出した別れ話に対して無言を貫いている。
その顔を見れなくて、私は自分の膝の上ばかりを見ていた。
ていうか、どうして黙ってるの？
とりあえず何か言ってほしいんだけど...。
「...というわけで、今までありがとうございました」
「ふうん」
別れ話を開始して数十分。
初めての反応に、思わず顔を上げた。
いたっていつも通りの顔をした賢ちゃんと、ぴったり目が合った。
「...わかって、くれた？」
「ん。わかった」
「そっか...」
ほっとしたような、拍子抜けしたような。
安心したような、寂しいような。
よくわからない気持ちが胸に突き上げたけれど、それ以上考えるのはよそう、と思った。
たくさんたくさん考えて出した結論。
たくさんたくさん泣いて悩んで、脳内会議を何度もやり直して。
そうしてたどり着いた答は、自分から離れることだった。
感情をあまり見せてくれない賢ちゃんに、私の心は疲れてしまったのだ。
人当たりが良く、他人に合わせるのが得意なかわりに、本当の自分をどこかに隠してしまう人。
それが賢ちゃんなのだとわかっていたつもりだったけど、その胸の奥にかかっている硬い固い鍵を、私がこじ開けられるんじゃないかと期待してしまっていた。
不安や邪推や疑念を持つこと。
それを振り払おうと努めること。
簡単にはできなくて、最後には落胆して終わりなこと。
その全部に疲れ果ててしまった。
私のことを本当に好きなのか。
本当はどう思っているのか。
今さら聞けないけれど、それが一番の疑問だった。
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えむ(プロフ) - HanNAさん» こちらこそいつもありがとう☆また来年もよろしくです！！ (2021年12月31日 8時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
HanNA(プロフ) - えむちゃん、いつも素敵なお話ありがとうございます！よいお年をお迎えくださいー (2021年12月29日 1時) (レス) @page26 id: ea9d2e9102 (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - みかみかさん» コメントありがとうございます☆あー、良かったですー。喜んでいただけて、ほっとしました^_^ いろいろ想像しながら書くのが楽しかったです☆こちらこそ良い機会をありがとうございました。是非またどうぞです☆ (2021年11月6日 20時) (レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
みかみか - 早速読ませていただきました！！もう最高でした！キュンどころじゃないですズッキュン心ぶち抜かれました（笑）えむさんの言葉選びほんとに好きです！素敵なお話ありがとうございました(T▽T) (2021年11月6日 6時) (レス) id: b0f25e0f76 (このIDを非表示/違反報告)
みかみか - えむさん» はい！もちろんゆっくりで大丈夫です！読んだ後感想も書かせて頂きます！素敵な作品お待ちしてます！ (2021年11月1日 23時) (レス) id: b0f25e0f76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年9月19日 22時
