ギャァァ！モウ一匹ノ鬼連レ！鬼連レェ！！

1.邂逅 ページ1

_我妻side


初めて目を合わせた時天使だと思った

伽羅色の髪に俺と同じ蒲公英色の瞳

風で舞い上がった前髪が整った顔立ちを顕にしてい
た

綺麗な顔には一筋の傷が入っていたけど

そんなのまったく気にならなかった

その子は俺と目が合った瞬間恥ずかしそうに顔を逸らしてしまったけど

照れながら手に持っていた花をこっちに差し出してくれた時

“守りたい” 強くそう思った





そんな儚い希望もあっという間に消え失せてしまったけれど









＿Aside


施設を抜け出してこっそり秘密基地に来ていた

なんとなく嫌な感じが視えていたから

この花畑は私だけが知っている内緒の場所

綺麗な蒲公英は私の瞳と同じ色で可愛らしかった

1つだけ摘んで腰をあげる

柚木に渡す分だ

そぅっと花弁をなぞると緩い風が吹く

あぁ、気持ちの良い空気だ

ふと、横目に不思議な揺らめきが視えてゆっくり振り返る

そこには私の手の中の花と同じ色をした男の子がいた

初めて先生じゃない男の人に会った

先生たちには“怖いモノ”と教わっていたけど

その人から見える揺らめきは凄く優しくて穏やかで、背中を預けたくなるような人だった

思わず蒲公英を差し出す

大丈夫かな、変に思われないかな

そんな不安も振り払うくらいあたたかな揺らめきが近づいて

「ありがとうっ」

少し強ばっている声音だったけれど心に響く声でなんだか直感的に

無性に、その声だけをずっと聴いていたいと思った

2.亀裂→

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