お疲れ社会人は推しを応援したい【ブラスタ】

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メニューを取ってくるからちょっと待ってろと言われ、大人しくカウンター席に腰を落ち着けてのんびりと店内の装飾を眺める。誰が模様替えを担当してるのかは知らないが、イベント中だとか季節の節目だったりとか、ささやかなことでもある度に意匠をこらしたセッティングが用意される。この店のそういうとこ好きになっちゃうんだよな〜〜！！キャストの顔がいいだけじゃなくてステージの演出も心を動かされるし料理もドリンクもメニューは豊富、しかも安くて美味い。
え、貢ぐしかないじゃん……？？？
私のような者の金で良ければどうかお納めください……(諭吉)。


｢あ、Aさん。こんにちは｣

｢早希さん。お店で会うのは割りと久しぶりですね、こんにちは｣


お隣失礼してもいいですか？と遠慮がちに尋ねてるのに頷いて、どうぞの意味を込めて右隣の椅子を引く。
ありがとうございます、と軽く頭を下げたその女性は、私と同じくこの店の常連だ。

風見早希さん。しょっちゅう顔を合わせているので、お互いに馴染みも深い。同じ店に通うとこんな出会いもあるから楽しいよね。推しチームが違うとたまにバチバチしてるけど、根っこは皆等しくオタク。
いえ〜い、仲間仲間！！

今現在スターレスではチームKとチームBのキャスト対決勃発中だから店の雰囲気はどことなくピリピリしているけど、それぞれのチームの女達は既に臨戦態勢万全である。
別に皆で仲良しこよししてる訳じゃないし何より推しチームがライバル関係な訳だから、当然客も客で小さな争いが繰り広げられていたりする。ただし争いに見えるのは客観的視点のみで、本人達は推しチームのことしか眼中に無い模様。

｢きゃ〜推し〜勝って〜！｣ではなく、

｢おめえら金の準備は充分かオラァ！｣なのだ。
これだからスターレスの女は怖いよね。


｢これはこれは、ケイの小鳥もご一緒とは。わたくしのような道化は邪魔者で？｣

｢ありがとう！！｣


早希さんと女子トークに花を咲かせていると、いつの間にやらカウンターに立った柘榴が最初の一杯を差し出してくるものだから私は咽び泣いた。今日も推しの顔がいい〜！！チップいる？タオルいる？稲荷寿司でも買ってこようか？？

因みに、プレゼントするにしても好物ばかりではいけない。あまりにも芸がないし、推しだって人間なんだから当然それ以外にも好きなものがあるはずなのだ。まあ、柘榴はそこら辺特殊だけどね！推し事初めてから暫く経つけどこの人本当に底なし。

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