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「…それで?何故このようにわざわざ日をあけられたのかお尋ねしたい次第」
「一週間来なかっただけでお互いに久しぶりって思ってる私は既に末期。どうもこうもないです仕事が忙しくて大変だっただけですこの世は苦しみに満ちている。最高の理不尽のせいでギムレットもう一杯頂きます」
「飲みすぎは体に悪いもの。幾ら貴方とはいえ、そろそろ御自身を慮るがよろしいかと」
「てやんでいっ!推しの食費を貢いでいると思えばこんなアルコールなんのその。ここのカクテル普通に美味しいのでまだまだ余裕です左衛門」
「おい、誰だよウェルカムドリンクにマティーニ出したヤツ。下戸なんだからすぐ潰れるに決まってるだろ」
自分で言うのもなんだが、この時既に私は酔っていた。要するに手遅れだ。今頃水を飲もうが茶を飲もうが酒を飲もうが、味が違うだけでみんな等しく私の腹に滑り込んでいくだけ。酒は飲み物だ、いいね?そこにあるのに飲まないなんて嘘だ。
「今日ってケイいないの?」
「いないね」
「呼ぶなよ余計ややこしくなるから」
「この人酔ってからが本番みたいなところあるし、大丈夫なんじゃない?」
「普段から酔ってるようなもんだしな」
さすが閉店間際。ラストオーダーを過ぎたこの時間に客など私一人しかいなく、仕事を持て余したキャスト達が何の気なしに寄ってくる。正直キャパオーバーなのでやめていただきたい。イケメンの中に紛れたくたびれ社会人の私……事案では?
てか今酔ってからが本番、的なこと言ったやつ誰だよ前に出ろ。おひねりあげちゃう。
普段から酔ってる発言は無難にスルー。私そんなにとち狂った人間じゃないです、おこ!
「全部推しが悪い……推しのせいだ……。お陰で私の人生計画完全にひっくり返った」
「元からそこまで考えてなかっただろ」
「そんなことないもん!!!」
「そもそも何でアイツが推しメンな訳?今からでも、俺に鞍替えしておけば?」
こんな時ナチュラルに自分を布教できるのがリコの凄いところ。コイツほんとにやべえな、と心の中で呟いておく。実際顔がいいから私はなんとも言えない。嫌いじゃない、嫌いじゃないけど推すか推さないかはまた別の問題なんだ、悪いな。
この店、どう考えてもファンサが効きすぎである。ファンの子にやってあげてくれ。
「なんでだろう…なんか、気づいたら推してた…こわ」
「怖いのはお前のその思考回路だよ」
「やかましいわ」
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満月もなか(プロフ) - 初めまして、作品大変楽しく拝読致しました(*´ω`*) ヒロインの性格とノリが素敵で、キャストたちとの軽快な掛け合いがめちゃめちゃ面白かったです…!楽しい時間をありがとうございました(*´ω`*) (2021年1月10日 1時) (レス) id: f3ce0de81f (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 続きが気になる (2020年10月8日 19時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
楼莉(プロフ) - れど。さん» 初めまして!コメントありがとうございます。柘榴推しなのでつい書き始めちゃったんですけど、想像以上に口調難しくて頭抱えてます笑。柘榴の小説が増えることを願って!!今後も頑張って更新していきます!! (2020年3月26日 17時) (レス) id: bb9032df8a (このIDを非表示/違反報告)
れど。(プロフ) - 初めまして、読ませていただきました。ブラスタ夢はちょこちょこあるのに柘榴がいなかったので最高に俺得です(鼻血)柘榴の口調を再現できるのはマジ尊敬に値する!これからも更新楽しみにしています。ゆっくり気長に頑張って下さい!小並感な文失礼いたしました。 (2020年3月25日 20時) (レス) id: be06a2cb6f (このIDを非表示/違反報告)
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