ちび、動きます《Y.M》

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Yanagida__side


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あいつと4年ぶりに会えた、


W杯開幕1か月前。


4年前、中学生だった彼女は


今ではもうすっかり大人びて、


纏う雰囲気も違っていて。





4年前の彼女はまだ子供で、中学生のくせに


段差でコケただけで泣きじゃくるし、


異様に深津さんを怖がって


こっちに泣きついてくるし、


俺のサーブを見ただけで怖がるし……。


とにかく泣き虫で、幼稚園児かと思うくらいで。


祐希が俺のサーブを受けて後ろにふっ飛んだ時は


泣きながら｢祐希くん死なないで｣なんて


祐希の所へ駆け寄ったり、


とにかく純粋無垢な子供だった。


けど今の彼女はどうだ。


まだ俺からしたら小さいけれど、


あの頃よりいくらか背が伸びて、


顔立ちも可愛らしく幼さのあった4年前とは


すごく見違えて。


今彼女に当てはめるなら、｢大人の女性｣と


言った方がしっくりとくる。




そんな彼女はここに来る以前


種目は違えどスポーツマンをサポートする


マネージャーを経験していたようで、


ここにきてもプレーの観察や、選手の動きを


細かくチェックしていた。


練習中も彼女に目が行ってしまうのだ。


そして、気付けば彼女と再開してから


彼女ばかりを目で追うようになった。


…自分でも気付いていた。


彼女のことが"好きなんだ"って。



けれど俺は今27歳で、彼女は今年19歳だ。


8歳差 という大きな壁と、


自分がそこそこ名の知れた選手であること、


W杯が終わればドイツに行かなければならない事、


それらを全部考えたら、


仮にも彼女と結ばれることなんて


あってはならないのだと思った。


それでも、鳥の囀りのような綺麗な声で、


そして愛嬌に溢れた愛らしい顔で、


｢まさくん、｣と俺を呼ぶから。








諦めようにも、諦めようがなくなって

しまったんだ。




愛らしい彼女も、



独り占めしたい気持ちがぶわぶわと湧き上がって、


27歳ながら、子供だななんて、おもったりもした。

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